後悔をしたことがある。
もう二度と取り戻せないかもしれない、そんな予感がありながらもその手を離してしまった。間違った選択だったのだろうか。少なくともあの時はそれが最善だと飲み込んで、受け入れる努力をした。
——永遠に消えることのない胸の痛みに気付かないふりをして。
「わたくしのわがまま、聞いてくださる?」
「どうした?」
「ジュリウスが嫌だと言っても、わたくしは二度と掴んだ手を離したくはありませんの。もちろんジュリウスに夢があって、その為にブラッドを抜ける……というのならば素直に応援するのですけれど」
ブラッドを抜けて一人で何かを抱え込む――そんなことはさせない。何かあるのなら相談してほしい、解決にはならないかもしれないけれど打ち明けてほしい。
自分の与り知らぬところで思いつめて、一人で決断するジュリウスを見たくはないと、自分のエゴでしかないかもしれないけれども願ってしまう。
彼にとって頼りない少女でしかないとしても何も言ってもらえないのは何より寂しい。
「もう道を違えるつもりはないが……仮にまた同じ過ちを繰り返したとしてもお前は必ず連れ戻してくれるのだろう?」
「……ええ、必ず。あの時は悩んだりもしましたけれど、きっと迷うことなく」
負担にはなりたくないだとか彼の願いだとか、そんなことで躊躇うことはない。
ジュリウスの隣にいられることが自分の一番の願いで、幸せなのだから。