「今日はタルトを用意してみましたの」
最早日常の一部と化しているお茶会。
紅茶と焼き菓子を準備し、少女ははにかんだ。尤も、紅茶も菓子も用意したのは彼女の従者なのだが。
「チョコレートケーキと迷ったのですけれど、ジュリウスはタルトはお嫌いだったかしら」
「いや、そんなことはないが」
こんな時代だからこそ誰かと食卓を囲んで話をする時間がノルンは好きだった。
お茶会もその為の手段を兼ねているのは否定できない。飴色の紅茶が注がれたカップを口に運びながら、ノルンは一息ついた。
「わたくしは甘党な自覚もありますし、ジュリウスのお口に合うかわかりませんけれど……」
「……気にせずとも、今まで俺がまずいと口にしたことはないだろう?」
「決してジュリウスがわたくしに気を遣って嘘をついているとも思っていませんけれど、やはり好みはあるでしょうし……」
せっかくジュリウスに付き合ってもらっているのだから、出来るだけ喜んでもらいたいのだと続ける。
「いえ、わたくしはジュリウスと少しでもお話出来るだけでとても幸せだと、思いますけれど……」
なんだかとても恥ずかしいことを言っているような。
ジュリウスとは決して恋仲ではないし、この感情を伝えようという気持ちもないのに。
「お前らしいな」
「そうでしょうか」
自分らしさなんてわからないけれど、ジュリウスがそう思ってくれることは嬉しい。