「……どうすればスープを作ろうとして回復錠が完成するんですか」
「あ、あんたが出かけてたみたいだから温かい料理作って待っておこうと思ったのに!」
レンは呆れたように笑う。その反応が気に入らないようでオトハはいつもより不機嫌そうな表情。
スープを作ろうとして液体ではなく固形物を完成させてしまうのは彼女の才能ではないだろうか。
アーカイブに保存されていた一昔前のアニメで料理下手な女の子が得体の知れないものを完成させるシーンがあったけれど、オトハの場合は人体に悪い影響がない。
それどころか戦闘中はありがたいものである。
戦闘で即座に効果を発揮するものは大体オラクル細胞由来だったような気がするので何を使ったのか考えると恐ろしくなるが。
「料理出来なくても生きていけると思ってたけど、あんたに振る舞えないのはやっぱり寂しいかも」
「……、この回復錠、使っても問題ありませんよね」
「それは、まあ、今まで完成したアイテム使って問題が起きたことはないけど」
「じゃあこれ、次の任務で使わせてもらいます。構いませんよね、オトハさん」
唐突な申し出に驚き、目をぱちくりさせる。少し思案し、ゆっくりと頷けばレンは嬉しそうに笑った。
これは、手料理を食べてもらえるということになるのだろうか。尤も、スープではなく薬だけれど。
そう考えると少し、否、かなり恥ずかしい。回復錠をつまみ、不思議そうにそれを見ているレンにやっぱり駄目だなんて言うつもりはないのだけれど。
「人にはない才能を持っているのはすごいことだと思いますよ」
「その結果、誰かに料理を振る舞ったり出来なくても?」
「でも僕はもう貴方から貰いましたけどね」
「どういうこと?」
「この回復錠もそうですけど、初恋ジュースですよ」
確かにまずいとアナグラ中で噂されていたあの飲み物をわざわざ渡すのは自分くらいで、それを喜んでくれるのはレンくらいだ。
彼にとっては素晴らしいご馳走を振る舞ったという認識なのかもしれない。
「変なの」
初恋ジュースで喜ぶ彼も、それで気持ちが楽になる自分も。