今日の任務はいつもより難度が高かった。
最前線の極東ではよくあることなのかもしれないが、通常よりも高い攻撃力を備えたアラガミがアナグラの近くで発見されたのだ。
そのアラガミがただ攻撃力があるだけのアラガミなら最前線で経験を積んだ極東支部の神機使いたちだけでも対処出来ただろう。
問題はそのアラガミが感応種、と呼ばれる新種だったことだ。普通の神機使いは感応種の力によって神機が動かなくなってしまう。
それ以外にも様々な特殊能力を持っている感応種は本来ブラッドでなければまともに戦うことすら出来ない。
「アラガミも気分屋ですわね。わたくしにだって都合はありますのよ」
たまたま対応出来るのがノルンとギルバート、ナナだけだったこともありこの強敵を少人数で相手にした。
大きな怪我もなく戻れたのは奇跡ではないだろうか。
「しかし何事もなく無事に戻るとはさすが、我がライバルだ」
「エミールの紅茶は絶品ですもの。これを飲めなくなるなんて耐えられませんからちゃんと生きて帰りますわ」
もちろん、ブラッドや極東の仲間達、本来守るべき一般人を残して死ぬことなんて出来ないというのが一番の理由であり、彼らの存在がある限りノルンは簡単に死ねないのだが。
エミールがカップに注いでくれた紅茶を啜りながら小さく息を吐く。やっぱり落ち着く。
「わたくしも美味しく紅茶を淹れる自信はありますけれど、エミールほどではありませんわ」
「そう言ってもらえると僕としても嬉しい」
「ねぇ、今度わたくしに美味しい紅茶の淹れ方を教えてくださらないかしら」
ああ、もちろんだと頷くエミールにノルンは笑う。
所属部隊は違えども、彼とはよき友達でありたいと思った。