「ユウゴの隣だと安心する……」
「……狭い」
シングルサイズのベッドに二人で寝るのは流石に狭い。
そもそもなんでこんなことに、とユウゴは思案する。確かイノリが嫌な夢を見た、と言っていたような。
だからって同じベッドに潜り込まれるととても狭い。見張りの看守はこちらを見てブツブツと何か呟いている。
幼少期、AGEになって間もない頃からイノリが同じベッドで寝ようとすることは時々あった。
怖い夢を見た、同室のAGEが亡くなってしまった、特に理由はないが不安に押し潰されそう——そんなときに一緒に寝てほしい、と。
この数年はそういうこともなくなっていたが、久しぶりに悪い夢を見て不安になったらしい。
「嫌な夢、ってそんなことで怯えるような年齢じゃないだろお互いに」
「それはそうだけど、子供の頃からの癖みたいなものだから」
適合試験を受けたあの日からイノリにとってユウゴは兄のような存在である。
まだ幼かった頃、看守に理不尽に折檻され泣きながら部屋に戻ってきたイノリを慰めたのもユウゴだった。
そういう日には無理を言って自分が眠るまででいいからと、隣にいてもらうことも多かった。
——お互いにあの頃より成長している今、ベッドに二人で寝るのはベッドが壊れないか、そういう意味でも心配なのだが。
(立派なベッドじゃないしな……)
AGEの扱いが悪いペニーウォートで自分たちの為に上等な寝床が用意される筈もなく。
本当なら自分たちにベッドを用意することさえ避けたいくらいなのだろう。壊してしまったら色々な意味で困るだろう。
「……まあ、少しならいいか」
「ユウゴのそういうところ、嫌いじゃない」
やがてすやすやと寝息を立てて眠ってしまったイノリを見て苦笑する。嫌な夢を見たという割には寝付きがいい。
任務で疲れているだろうし朝まで寝付けないよりは断然いいのだけれど。
「おやすみ、イノリ。いい夢を」
とても幸せとは言い難い現状ではあるがせめて夢の中ではあり得ないくらい幸せであってほしいと、眠るイノリの髪をそっと撫でた。