ユウゴと出会った日のことを今でも鮮明に覚えている。
それは、暗闇の中の一筋の光のような。絶望の中の希望のような。とにかく、自分にとって大きな出会いであった。正直、あの時に出会った相手がユウゴでなければ、自分は今ここに居なかったとすら思う。
もちろんユウゴは幼馴染がそんなことを考えているだなんて、想像すらしていないだろうけれども。
——厄災発生により身寄りを失った子供が大勢いた。自分たちには最初から身寄りなんてなかったようなものではあったが、生きていく為の術を失ったという意味では同じだった。そんな子供達をどうにか集めて適合試験を受けさせていたのがペニーウォートだ。実際にペニーウォート以外のミナトでも同じようなものだったのかもしれない。
そんな境遇の子供達なのだから怯えていたり泣いていたり、不安定になっている子が大半だった。ペニーウォート以前のユウゴのことはあまり聞いていないけれど、彼も似たような状況だったのではないかと思う。だからこそ、記憶に深く焼き付いているのだ。決して諦めていないような、そんな表情が。
……全て自分から見たユウゴのことでしかないので、本当は怯えていたのかもしれないし泣きたい気持ちだったかもしれないのだけれど。
「ユウゴと出会った日の夢を見た」
「俺と?」
「……そう。あの日出会ったのがユウゴでよかった」
初めてだった。イノリという個体を人間として扱い、対等な存在として接してくれた。
あの日出会った相手が自分を人間とも思わないような人だったら、きっと自分は人として生きることは出来なかった。今でも人間らしく振る舞えているか怪しいところではあるが、もっと人間として歪な何かになっていた。
「……多分ユウゴには迷惑ばかりかけてしまっているのだけど」
「まあ確かに、AGEとして戦場に出るようになったばかりの頃のお前の戦い方にはハラハラさせられたけどな」
「う……」
お前達が死んででもアラガミを倒してこい、と言った看守がいた。AGEの命を何とも思わない看守なんて珍しいことではない。真っ当な人間性など育まれておらず、ずっと道具として扱われてきた人間が死んででも倒せ、なんて命じられたのだから碌なことになる筈がない。
神機を傷つけるような戦い方も怒られるのは分かりきっているし、より多くのアラガミを討伐するのに効率の良い方法——と考えた結果、自分の身を犠牲にするような立ち回りをした。
それで死んでしまうかもしれない可能性は考えたし、死が怖くないというわけでもなかったけれど。
「あの頃はよくユウゴに怒られた……」
「ったく、当たり前だろ。見てるこっちの身にもなってみろ」
「……うん、私がユウゴの立場でユウゴが私と同じ戦い方をしていたら、私も怒ってたと思う。だからもう極力あんな戦い方はしない」
ユウゴという希望に出会わなければ、自由を知ることも、その自由を手にすることもなかった。
だから一生忘れることのない思い出。AGEとしては楽しい記憶なんてなかったが、悪いことばかりでもなかったのだ。