「こっちへ来たらどうだい」
目の前でまさに盗みを働き、逃げようとする少年に言う。
彼が私欲だけで怪盗をしているわけではないことは知っている。ただの犯罪者だと非難するには彼は優しすぎる。
それでも犯罪は犯罪で、彼が盗んだ宝の持ち主がどんな性格なのかさえよく知らないけれど、どんな相手であれ泥棒が許されるはずもない。
毎度毎度逃してしまっているが今度こそ捕まえようとカラメルは躍起になっていた。
「行きたいのは山々ですがね」
「小憎たらしい。益々自分の手でとっ捕まえないと気が済まないのだよ」
警察が包囲しているこの場所もこの少年、ノルドにとっては容易く切り抜けられる場面なのだろう。
——だからこそカラメルとしても本気になるのだが。
お互いに、終わらない追いかけっこをしている。
*灯月 七夜様宅ノルドくんお借りしました!