メテオール様、と呼ばれた。
恐らくは城で働いている使用人だと思う。
オランジュが暮らしているこの「城」では姫の伴侶である自分もまた敬う存在として認知されているのかもしれない。
元々貴族の家庭にいたが未だにメテオール様という呼び方には慣れない。自分は様付けされるほど出来たヒトではないのだ。
「なあ、オランジュ」
「どうかしましたか?」
「様付けは妙に慣れないんだが」
城にいると口々にメテオール様、メテオール様と呼ばれる。姫であるオランジュと結婚したのだから当然といえば当然なのだが。
メテオールは元は孤児だ。貴族に拾われたとはいえ上流階級の生活には馴染めない。
もちろん結婚して数日というわけではなく、この生活を始めて暫く経つ。
最初は慣れるだろうと思っていたがやはりこの環境の変化には慣れそうにない。決して嫌というわけではないのだが、少しだけむず痒いというか。
「では、徐々に慣らしていくのはどうでしょう」
「徐々に?」
「えぇと、その、例えばわたしがメテオールさまと呼んでみるとか……」
最愛の妻の口から出た「メテオールさま」という言葉に動揺する。
悪くはない。悪くはないのだが、別の意味でまずい。彼女にメテオールさまなんて呼ばれ続けたらそのうち死んでしまうのではないだろうか。
「…………悪くはない、悪くはないがオランジュともっと長く生きていく為にも却下でお願いしたい」
うちの嫁が今日も可愛い。
*おぼろ様宅オランジュさんお借りしました!