星空の向こう

星空を見上げながら、黄玉は思う。
この空は、子供の頃に見ていたものとは違うのだろう。ここは自分の知らない世界なのだ。
同じようで違う世界。所謂パラレルワールド、と言われるもの。そんな非科学的な存在を信じていたわけではないが、自分自身が平行世界へ放り出されてしまったのだから流石に信じるしかない。
知り合いのいない世界で不幸中の幸いだったことは自分と同じく平行世界からこの世界へ迷い込んだ少女がいたことだろうか。


「黄玉くんは、向こうの世界で幸せだったんだねぇ」
「蒼玉?」
「あたしは今のほうが幸せだから、帰りたいと思ったことがないんだ。変かな?」


変、かもしれない。
少なくとも黄玉にとって故郷や故郷にいる知り合いは大切なもので、当然他の人にとっても故郷は大切だと思っていたから。


「でも蒼玉がそれだけ此処を好きだってことだろ」
「黄玉くんとも出会えたし、他の人も優しいからね。黄玉くんは好きじゃないの?」
「…………俺は、別に」


この場所に居心地の良さを感じているのは事実だけれど、好きだと口にしてしまえば戻れなくなるような気がした。