妻であるオランジュには常日頃から感謝している。
王族として生まれた彼女と一時期は食べるものにも困るような生活をしていた自分では違う部分も多いし、きっと同じ身分で結ばれた恋人や夫婦以上に苦労も多い。
実際に、貴族や王族が口にするような最高級の料理が食べられない……否、食べられなくもないがほぼ確実に腹を壊す厄介な体をしている自分に合わせ食事を改善してくれようとしてくれることも多々ある。
尤もオランジュとは生きてきた世界が違いすぎて、彼女にとっての「庶民的な料理」は自分たちにとって「特別な日でなければ食べられない高級品」に変わりはないのだが。
身分違いを痛感することも多い日々ではあるが、だからこそより彼女を理解しようと努力出来るのかもしれない。
綺麗な嫁を貰って穏やかに生きる日々、なんて今まで想像もしていなかった。
「今日くらい黙って俺に尽くされてろって」
「どうしたんですか、突然」
「さあな」
とはいえサプライズなんて慣れないし彼女を喜ばせる案があるわけでもないけれど。
まずは食事にでも、と思ったが普段彼女が口にするような料理を提供してくれる店を自分は知らない。
「まあ、何をするってわけでもないんだけどさ。……少なくとも俺にとっては既にこの生活が特別だし」
「……メテオールさん」
せめてこの手を放してしまわぬように、共に過ごす時間を増やせたらと思う。
*愛妻の日
*おぼろ様宅オランジュさんお借りしました!