空は灰色。空気は澱み、そこで生きる人々の心も荒れていた。
私がこの世界に生まれたときからそれが当たり前の光景で、その世界を変えようなどと考える人は稀だった。この世界のこの在り方が当然だったから当然なのだけど。
——私は、この世界が嫌だった。
過去、空は青色をしていたという。世界から空の色が失われて久しいけれど、それはきっと素敵なのだろうと、いつか取り戻したいと願ってしまう。
「ねぇ、ヨノワール」
「どうした」
「もし私が困ったら、あなたは助けてくれる?」
この世界を救う、などという途方も無い夢。
英雄でも救世主でもない私にはきっと一人で成し遂げることは出来ず、私だけではなくジュプトルやヨノワールの力も必要なのだ。
だからもし、私が躓いたら手を貸してほしい。それはまだ真実を知らぬ頃の、無邪気な願いだった。
「私はヨノワールと一緒に、いつか明るい空を見てみたいから」
「……それは、個人的な望みか?」
「個人的な夢、ね」
「よく分からない人間だな、お前は」
私にとってヨノワールはジュプトルとはまた違った信頼できる友達で、だからこそ彼のことをとても頼りにしている。
ずっと、とは言わないけれど、本当に困ったときには頼りたいし頼られたいとも思う。
……ヨノワールにとっては迷惑な話かもしれないけれど。
「まあ、お前たちのゴールが見えない夢を手助けできるのは私くらい、か。ルーチェもジュプトルも甘いところがあるからな」
「……否定はできないけれど」
いつか、きっと。
そんな幼い夢を見ていた。