「なゆ。キミはこの世界の最後の希望なんだ」
ゼルネアスやアルセウスも言っていた、と天華は口を開いた。
この世界に来て数ヶ月。生命の木を救う戦いは激化していく一方だ。心に隙があるポケモン達が操られ、たくさんのポケモン達を石にしていく。
石にされる恐怖、誰が石化の犯人なのか分からず疑心暗鬼になるポケモン達。負の感情も募っている。このままでは、この世界が滅んでしまう。
そんな世界に残された希望がなゆたなのだと、何度も聞かされたけれど正直実感はない。
数ヶ月前は普通の「ニンゲン」だったのだ。突然ポケモンの世界の救世主のように扱われるのはやはり慣れない。
「だが、何度も言うがわたしはこの世界に生きているわけではない。恐らく、役目を終えたら帰らなければならない身だ。わたしはキミ達に手を貸すが、この戦いはキミ達自身で乗り越えねば意味がない」
「うん。生命の木に仕える者として、ボクは戦うよ。だけどキミが隣にいてくれるだけで、勇気が出るんだ」
天華はふわりと笑う。
この小さな少年に全てを押し付ける気などない。彼が道を踏み外さないように助け、押し潰されそうなときは一緒に責任を背負う。そういう仲間だ。
「大丈夫、天華は独りじゃない」
「初めての友達がそう言ってくれるんだ、ボクは絶対に折れないよ」
天華の助けになれるのならば、命だって惜しくはないと思っていたのに。