「……天華、行ってしまうのか」
「全てはボクに責任がある。遠い未来に生きる人々にボクの尻拭いをさせるわけには、」
ダークマターは破壊した。
しかしダークマターの本質は人々の負の感情。怒り、悲しみ、憎しみ――普通の人たちが当たり前に抱く感情を消し去るなんて出来ない。きっとダークマターは遠い未来、復活してしまうだろう。
完全に消滅させるどころか、未来に全てを押し付ける形になってしまったと、天華が自分を責めているのをなゆたは知っている。
だから、止めることは出来ない。
「きっと、わたしにも覚悟が足りなかったんだ。だからキミが全てを終わらせる為に旅立つのならば、わたしも一緒に行きたい」
「……駄目だよ、なゆ。これ以上、無関係のキミを巻き込めない」
「ここまで付き合ったんだ。今更無関係、ということはないだろう?」
最後まで見届けたい、と思うのだ。
天華が愛し、守ろうとしているこの世界を。出来ることなら平和になった未来を。
中途半端にでも関わってしまったのだから、終わりの瞬間まで共に戦いたいと思ってしまうのはわがままだろうか。
「だって……ボクは、全てを失った状態で、それでも奴らの上をいかなければ、勝てないと思うから」
だからボクは全てを忘れようと思っている、と天華は笑う。その顔は今にも泣き出しそうで、胸の奥が締め付けられるような痛みを覚えた。
天華は、覚悟が出来ている。
ならば自分も決断しなければならない。
「……正直に言うと、天華のことを忘れてしまうのは怖い。でも、天華を独りにしてしまうことは、もっと怖い」
「なゆ……」
「だから、わたしも行きたい。記憶を失ったとしても、天華と出会い、友達になる自信はある」
もう二度と、道を違えない。