対極

「藍玉さん」

白の少女の凜とした声。
見ず知らずの自分の命を繋ぎ止め、こうして傍に在ることを許してくれる存在。変わり者だと思う。ボロ雑巾のような自分を躊躇うことなく救った彼女が。
もしかしたら予言の力を持つ水精を狙う者の罠かもしれないと、そういう可能性もないわけではないだろう。
たとえ罠だとしても死にかけている人を放っておけません、と言い切った彼女の表情が今でも頭から離れない。

「藍玉さん、聞いていますか?」
「……聞いていますよ、水精」
「この近くの町へ用事があるのです。付き添っていただけますか?」
「それがあなたへの恩返しになるのならば、喜んで」

水精に拾われた命だ。もう暫く彼女に付き合うのも悪くはない。
こんな変わり者に付き従う自分もまた、十分変わり者だ。非力な少女の代わりに彼女を狙う者を蹴散らすことは楽しい。
ここにいると、退屈しなかった。