冬のシーズライトの影響を受けている教都アルジェーンは常に肌を刺すような寒さだった。
吐く息は白く、指先は氷のように冷たい。もう少し暖かい格好をするべきだった、とアインは後悔する。寒さに慣れたアルジェーンの子供たちが元気に駆けていく姿を見て、思わず苦笑した。
「帰ったら温かい紅茶でも淹れようか」
同じ歩幅で隣を歩くハイネの言葉に小さく頷く。
ハイネがブラッカに用事がある、と言っていたので何か理由があるわけでもないけれど彼と一緒にこの街までやってきた。パートナー関係ではあるけれど二人で一緒に出かけることなんて稀だったし少しでも一緒に過ごしたかったからということは否定できない。
——もっと一緒にいたいと思ってくれていたのはハイネのほうも同じなのだろうか。そうであれば嬉しい。
「アイン」
冷たくなった手を握られて、ぴくりと肩が揺れる。ハイネの手も同じくらい冷たいけれど、握りしめられた部分はじわりとあたたかい。
寒いけれどもうしばらくこのままで、と子供のように思ってしまう。
「ねぇ、ハイネ」
「どうしたんだい?」
「たまにはこういう日も悪くないね。アルジェーンも寒いけどいいところだし」
手を繋いだまま、ふわりと笑みを浮かべて。
胸の奥は春の陽だまりのようにぽかぽかと暖かかった。