unring a bell

✤ 桜魔の話‪‬

政治と傭兵と研究者

 研究者で「少なくとも戦闘は専門じゃない」って言ってる人間が、魔の血を取り込むとその魔の力が使えるようになる薬を作って持ち歩いてる時点でわんちゃん禍祓は傭兵部門以外の学徒にも戦闘について一通り叩き込んだ可能性出てきたし、上層部が危険じゃない場所という理由でそこそこ上に上り詰めてる研究者を一人で調査に放り出すのって傭兵が足りないこと、晴はまだ若造として上層部にあしらわれてる事、そういう諸々がなんとなく透けて見えて思ったより桜魔の状況はやばい
 だからこそ長尾に耶々森は傭兵部門にぶち込まれたし、それこそ長尾は晴だけにつけないからゆくゆくは晴専属として耶々森を上層部に叩きつけようとしてるんだろうなと
 確かに晴とべるをずっと一緒に居させてあげられるし、二人共の危険を補い合えるから長尾はそこまで考えてたとすると、意外に長尾は桜魔の行く末と政治の一番の被害者かもしれない あとはるべるの立役者 THANKS

✤ 桜魔の話‪‬

傭兵部門

 彼女が傭兵部門に入るって聞いて血相変えて研究者部門以外は駄目ってのは、晴の「そんな危ない所にべるちゃんを出したくない」ってエゴで、勿論べるを怪我させたくない、死なせたくないって感情もデカかったけど、本当は自分の手だけで道を切り拓いていく力を手にしてしまえば自分の元を離れてしまうかもしれないという恐怖の方がでかかった
 けどまあ晴のそれは長尾には全て察されてたし、長尾はべるの「晴に頼らずとも自分で身を守れるくらいは力をつけたい」という自分の立ち位置を理解して良く考えた上での意見を尊重した
 結果的に禍祓に長尾の推薦で、晴には長尾からの稽古という事で半ば無理やり納得させて傭兵部門にぶち込んでもらってる。長尾、良い奴だな〜(しみじみ)

✤ 桜魔の話‪‬

あいまい

 耶々森べるという女、甲斐田晴への恋愛感情を剣持刀也に指摘されても違うと言い切るし、甲斐田晴に好きと言われても(晴はわたしの事が好きなのかあ)で終わって告白をふうんで流してしまうけど、自分のことを好いてくれる人間が好きなので告白されたら誰でも付き合える(流されやすい)から晴がいつも目を光らせている

 でもやっぱり晴とは付き合えないので、なんでだ……?とは自分でも思っている

✤ 未分類‪‬

0か100しか無いのか?

 べるさんは基本的に無償の愛とか優しさに懐疑的なので、晴のことを最初はめちゃくちゃ嫌がるけど、長尾や晴本人の説得やらの甲斐あって納得して咀嚼して飲み込む事はできるようになる
 でも今度は晴のそういった部分を盲目的に信じてしまうから彼の下心やらには気付かないフリ、というか気付かなくなるし、縄張り意識が高く面倒臭いため晴が一番優先する他人が自分じゃないとキレて屋敷から出ていく事もあるし男の家に居候する時もある
#神和7年度キングオブカス新人賞受賞

✤ 現世の話‪‬

まだ恋とも呼べない未熟なそれを

 晴が禍祓に通っていて研究費用とか諸々で金無くて閉店間際の安売りしたパン食ってた頃、現世に来たは良いものの、バカほど腹減って(現世で餓死とか笑えない……)って考えてたら、コンカフェに出勤する前のかつての彼女に、ケーキの切れ端や大量のクッキーを貰って「お腹空くと、元気出ないですよね」って言われてうっかり恋に落ちかけた
 結局桜魔に戻ってそもそも名前も知らないし、女子高生に優しくしてもらった事だけは覚えてたある日、その娘にそっくりな死にかけの女の子が自分の屋敷に落っこちてきたものだから全てフラッシュバックするし当の本人は覚えてないからそっと胸の内に秘めている

✤ 現世の話‪‬

かみさま

 耶々森にとっての神様は最初から最後まで姫伽恋詠なので(姫伽恋詠!?)、虚空も桜魔の神々も彼女にとっては耶々森べるという人間になってもずっと魔と同義
 剣持刀也が虚空に何かを見出さなければ、本当の意味で友達になれたかもしれないし、彼を逆恨みすることもなかったし、彼のことを『刀也』と呼べた
 甲斐田晴が桜魔の人間でなければ別の形で出会えたかもしれないし、彼の幸せを祝福できたし、彼と出会わなくて済んだ

 でも彼女は神を恨むけど、同時に神が居なきゃ剣持にも晴にも出会えなくて、自分が耶々森べるになれなかったことにも気付いてる

✤ 桜魔の話‪‬

身勝手

 甲斐田晴という男の最初で最後の理不尽が、「君の覚えてもいない身勝手で無自覚の優しさのせいだろ」って号泣しながら言ってくることなんだけど、これに対して耶々森べるという女は「あんたが勝手に縋って身勝手な好意を振りかざしてるだけ」って返すのめちゃくちゃ無責任だし、べるはべるで晴の無自覚な優しさのせいで常に罪悪感と希死念慮に苛まれてる癖に、身勝手な自己解釈で『晴が優しくしてくれるのは罪悪感から逃げるための偽善』って思い込んでるの、ガキだな……になる

✤ 現世の話‪‬

とうや

 べるは剣持刀也のことを『りきや』と呼ぶんだけど、単純に親しみを込めてとかじゃなくて彼のことを『剣持刀也』として扱いたくないという感情が根底にある
 神を人間が認識するためには、必ず教祖が必要で、いわば教祖が居なければ神も居ないと同義だと思ってるし、神の下に教祖はあるけれど、同時に神を創るのは教祖なわけで。そして剣持刀也という人間は、虚空教の教祖で崇めているものは虚空であるけれど、教祖と分類される人間と彼女は馴れ合いをするつもりはないだけのはなし

まあ晴は同年代の二人には仲良くしてほしいと思ってるし剣持も何となく彼女の真意には気付いてるから適当にあしらっている

✤ 桜魔の話‪‬

名前のはなし

 名前すらも失った彼女は虚構として作り上げた『べる』の名前と新たに耶々森という苗字を手に入れたわけなんだけども、苗字を手配したのは恐らく晴と弦月だろうし晴は完全なる善意で贈ったそれは神様への供物として、そして現世の人間ではなく桜魔の人間として縛り付けるものだというものを晴は多分気付いてない。現世で生きていた彼女を殺すトドメを刺したのは甲斐田晴という男だったってはなし
 ただまあ彼女も心の底から手放したかった家族との繋がり、その中で目に見える最たる苗字と名前を手放すにはそれを甘んじて受け入れるしか無かったんだけども

✤ 桜魔の話‪‬

ややもり

 べるさんが桜魔に来た時、本当に着の身着のままで自分という存在を証明出来るものがメイド服の『べる』の源氏名だけなの、本当に虚構以外全てを失ってしまったんだなあ……になるし、現世では彼女の存在が無かったことにされ、関わりがあった全ての人が彼女の事を忘れてしまっているの、本当に晴しか頼れる人がいないし、現実から逃げる為に虚構に縋ったら虚構しか残らなかったの、皮肉だな

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