カキーン
金属バットに硬球が当たる音、高校球児が甲子園を目指し日々バットを振る姿。
残念ながら、我が校は未だ無名の高校である。
マネージャーもいない大した設備もない、そんな野球部に今年入ってきた小柄な少年。
そう、轟雷市こそ私の幼なじみである。
お父さんがあんなだから、雷市は常に飢えている。もちろん文字通りの飢えだ。
食べ盛り育ち盛りなのに、あの人だけじゃまともなご飯も出てこないので見かねた私(の家)が時たま(これまた概ね)面倒を見ているのだ。
まぁ私が雷市を好きであることが一番の理由だが。
「雷一ー!!!朝ごはんは食べてきたの!?お昼は!」
「ゆめみー!飯ー!!!!!!」
「おにぎりは朝食べること、お昼はこっちのお弁当ね。お茶とスポドリがあるけどちゃんぽんにはしないでね。お茶はご飯と一緒に飲むこと。わかった?」
「わかった!」
恥ずかしがり屋で照れ屋で口下手な幼馴染みだけど、私にはニコニコと話しかけられるようなやつだ。
少女漫画的展開ならもしかして私、女扱いされていない!?となるのだろうけど、生憎私はこうなるように仕向けているので当然としか思わない。
「野球している雷市が一番素敵よ。」
「おう!」
フェンスの外からバッターボックスに向かう雷市に向かって思いっきり息を吸う。
「ラーイーちー!ホームラン打ったら彼氏にしてあげる!!!!!」
「言ったな!?」
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