「そんなことも分からないの?基本だろ!」
「まったく基本が全然がなってないね」
「基本からやり直したら?」
久々に再開した彼の放った言葉がこれだ。
いつも基本、基本ってそればっかり。シューティー君はそう言って私を馬鹿にするのだ。
確かに私はシューティー君と同じくらいに旅立ってトレーナーとしてポケモンを育ててきているのに、バトルは弱いしタイプの相性だってまだ曖昧でやっと最近になってようやくサンヨウジムのバッジを手に入れたばかりだ。
けど馬鹿にされるのはやっぱり悔しくて、悲しくて。今こうして考えているうちにも鼻の奥がツン、としてきた。
「ちょっと、なに泣いて…」
自分の頬に触れてみると涙が伝っていた。
ああ、もう。こんな風にすぐ泣いてしまう自分が嫌だ。自分の弱さを曝け出しているようで、自分がちっぽけに感じて。
だけど一度流れはじめた涙はなかなか止まってはくれない。
「私だって馬鹿にされないくらい、強くなりたいよ…!」
本当はシューティー君に下に見らるんじゃなくて、対等でいたいのに。
「馬鹿にしてごめん……強くなれるよ、名前なら」
指でそっと涙を掬って、頭をぽんぽんとしながらそう言ったシューティー君に思わず目を瞠ってしまった。
初めて、優しい言葉を掛けられた気がする。
「トレーニングなら付き合うよ」
「…うん、ありがとう」
はじめの一歩は君と
彼が触れた頬に、頭にほんのりと熱が残っている。
対等になるために一緒に頑張っていくのも有りなのかもしれない。
(2010/11/28)