報われない幼馴染み

僕にはリーナという、小さい頃から仲の良い友人、つまり幼馴染みがいる。


僕たちは小さい頃から何をするにも一緒で、本当に仲が良かった。いつも僕はリーナのそばにいたし、リーナもいつもそばにいた。そしてこれからもその"いつも"がずっと続くんじゃないかって、そんな根拠はどこにもないのに、心のどこかでそう信じて疑わなかった。


あの日が、来るまでは。





「リーナ、キミは僕を置いて行くのかい…?」

「ごめん、シューティー。でも私、ずっと楽しみにしていたの」

「…そうだね。ごめん、リーナが楽しみにしていたのは僕もよく知っているよ」

「寂しい思いをさせることになるね、ごめん」

「謝らないで。必ず追い掛けるから」

「うん、待ってる」

リーナの10歳の誕生日。リーナは今日、ポケモンと図鑑を貰ってこの地から旅立つ。
僕を置いて、一人で。

なぜなら、僕はまだ9歳で旅立つことが出来なかったからだ。僕は、どうしてあと1年早く生まれて来なかったのだろうと嘆いた。嘆いたところでどうしようもないことはわかっているけれど、そうせずにはいられなかったんだ。

たかが1年。でも、その1年は僕にとっては果てしなく長く、厚い壁だと感じた。


『待ってる』


リーナはそう言った。ならば僕は10歳になったら、すぐに旅に出てキミに追い付くよ。そして二人の約束を果たすんだ。

あの時、チャンピオンのアデクさんのバトルを見て、決意したことだ。
あの人より強いトレーナーになること。そしてイッシュリーグでバトルをすること。


そして、それを果たした時、伝えたいんだ。

キミのことが好きだ、ってね。


いちばん近くできみを見てきたんだ

2011/10/15

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