報われない幼馴染み

たった1年、離れていただけなのに、本当にリーナは成長したと思う。
僕と一緒にいた頃のリーナなら、こんな風に一人で何かを決断するようなことはなかったはずた。

リーナが旅立ってからは1年という壁がもどかしいといつも僕は思っていたけれど、今日ほど僕がそれを強く感じた日はない。

「行きなよ、カントー地方に」

「えっ、いいの…?」

「もちろんさ、ブリーダーになるために勉強するんだろう?」

キミが新たな目標に向かって前に進もうとしているのに、僕との約束がそれを邪魔しているだなんて悲しいじゃないか。リーナを立ち止まらせてしまった原因が僕にあるのなら、背中を押してやるのも幼馴染みである僕の仕事だろう。

「シューティーごめん、ありがとう!」

「謝る必要はないよ、頑張って」

「シューティーも、ジムバッジ集めてるんだよね?頑張って」

「ああ」

そう、僕たちは幼馴染み。1年だろうが何年だろうが、カントーにいようがイッシュにいようがそれは変わらない。リーナは僕の想い人である以前に大切な幼馴染みで、きっとリーナにとっても僕はそんな存在なのだと思う。

「じゃあ、次に会うときは僕がイッシュのチャンピオンで、リーナがトップブリーダーになってるかもね」

「うん、そうだね!そうなるといいなあ…」

「いいなあ、じゃなくてなるんだよ」

「あはは!そうだね、うん頑張ろう!」


いつか、そうなる時まで。

キミに僕の想いを伝えるのはお預け。
それまではずっと、キミの大切な幼馴染みでいてあげようじゃないか。


ずっときみの大切な幼馴染みでいること

2011/12/07

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