背に流れる真白い長髪。腰どころか足首にすら届きそうなほど伸ばされたそれは、高い位置で一纏めにされており、彼が振り返ると重たげに揺れた。

「おや、マスター」

 彼の身につけた鎧がガシャガシャと鳴る。抜き身の刀をしまいもせずにこちらに向き直る天草は、今日も見事なほど柔和に微笑んでみせた。

「珍しいね、第三再臨」

 そう言うと、彼はその笑みを深くする。

「マスターは、この姿がお嫌いのようですからね」

 私が苦い顔をすると、天草は一歩、また一歩とこちらへ近づいた。正直後ずさってしまいたかったが足に力を入れてそれを押しとどめる。

「意地悪だね…」
「私も男児ですので」

 それは理由になっているのか。ようやく刀を鞘に収めて、私の眼前に立つ。少女にも似た可愛らしい顔をして、着物に包まれた彼の身体は、筋肉と数多くの傷に覆われている。脂汗にも似たものがこめかみからじわりと滲み出すのを感じた。

「…ただの神父さんの方が黒と白で絵面かっこいいし…」
「それは嬉しいですね。ですが和装も気合を入れてめかし込んでいるのですよ」
「……」

 気付いているくせに。自分より高い位置の双眸を睨むと、小首を傾げながら、にこりと音がしそうなほどきれいに笑んでみせた。

「下総と……聖杯大戦を、思い出すから」

 私の言葉に彼は目を細めた。睫毛の影が一段と濃く、褐色の肌に落ちる。

「私のことを、よくご存知なのですね」

 笑みは柔らかだが、瞳の奥は笑っていない。
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斜掛