口を開けば嵐



かっちゃんをも黙らせる転校生が来た。

「UAノリコとか鬼バビるわ〜プチアガリ〜〜! ちゃけばミラクルハイパーAYなんですケドよろぴこ〜」

なんでも希少価値の高い個性を持っているらしくて、その汎用性と将来性を認めた雄英が、彼女、seimeiさんを保護したそうだった。

かなり短いスカートの丈と着崩したブレザー、靴下はぶかぶかでよく見たら耳にはピアス穴がいくつかある。
学校だからか化粧こそしてないけど、喋り方と身なりで彼女が俗に言うギャルであることは間違いなかった。

どんな個性なのか聞きたいのは山々だったけど、僕には声をかける度胸がなくて盗み見るだけで精一杯。それはみんなも同じで、(当たり前のような気もするけど)彼女は浮いていた。

「そのはしたない格好はなんだ! 雄英の生徒として恥ずかしくないのか!?」

そんな空気を変えたのは飯田くんで、爪を磨いていたseiさんはいきなり腕を掴まれてびっくりした顔をする。

「そーゆうのメンディーんすけど〜TBSだかんね〜。……ちょま、HK筋肉パなくね? エモいわ〜〜名前は〜?」

急にテレビの話? えもい?
はしたないと言われたのを気にしていないようで、seiさんは人懐っこい笑顔を浮かべる。そんな彼女に面食らった飯田くんは、仕方なくといった風に自己紹介をした。

「じゃあてんぽんね〜」
「てんぽん!?」

そのあと彼女は(半ば無理やり)飯田くんと自撮りをしていた。