むかしむかしあるところに、大きなおしろにすむ王子さまがいました。王子さまはキラキラかがやくきん色のかみのけに、そら色のふくをきていました。王子さまはぎん色にひかるけんでわるいやつらをたおして国のへいわをまもり、いつまでもお姫さまとしあわせにくらしましたとさ。めでたしめでたし。
うんと省略したであろう絵本の話を少女(いやまだ幼女と言った方が良いかもしれない)はうっとりとした目で語った。
「ねー!あなたにぴったり!」
そうグラハムさんに言っている事は全く理解出来ないが。
「だってあなたもきん色のかみだし、そら色の服だし、ぎん色のけんをもっているもの。」
グラハムさんは確かに金色の髪だけど、空色の服と言うには目に痛い色だし、手に持っているのは剣ではなく間違いなくモンキーレンチで色しか合っていない。
「おい、シャフト……こいつは一体何を言っているんだ。いきなり見知らぬ子供に飛び付かれて王子様だなんて言われた。俺にはグラハム・スペクターという立派な名前があるというのにだ。俺はグラハム・スペクターという名前を否定されてされているのではないだろうか。いや最早これは俺自信を否定されているのではないだろうか!こんな子供にすら自分を認めてもらえない!悲しい話だ……!」
いつものモンキーレンチを振り回しながらのグラハムさんの喋りにきっと彼女も目が覚めただろう。こんな変な王子様はいないと。
「王子さまはおしゃべりなのね!」
「君も案外しぶといね。」
なんてこった!グラハムさんのこの喋りを聞いても何とも思わないとは!
「どうやら俺は王子様らしいぞ……俺も知らなかった新事実発覚だ!」
「大丈夫すよ、そんな死んだ魚のような目の王子様なんていませゲファッ!」
言い切るよりも先にグラハムさんのレンチを鳩尾に喰らった。
「わあ!わるいやつを王子さまがやっつけたんだわ!」
悪いやつって俺の事ですか!痛みで喋る所か動けないので、心の中で突っ込んだ。
「あとはわたしというお姫さまとしあわせにくらすのね!」
満面の笑みでそう言い放った幼い彼女がある意味一番最強だと思った。
わたしのいとしい王子さま
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20131201〜20160625
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