「何者だ、あいつ。」
投げ出された薄暗い路地裏で、ぼそっと呟いたザップさんのあいつとは間違いなくロニーを指していて。俺は神々の義眼であいつのオーラを見ることができたけど、そんなもの見えなくてもあいつの纏う雰囲気はただ者じゃなかった。
「aさんに呪いをかけたのもきっとあいつですよ。」
「呪い?」
あ。そうだった、全然話を聞いてくれなかったからそもそもaさんに会いに行った理由も何もかもザップさんは知らないんだった。
「首あたりに鎖のような物が絡まってるんですけど、それが纏うオーラがロニーのものと全く同じで。」
「なるほどな。お前はそれを心配していたってわけか。」
鎖の位置を自分の首元を左右に指しながら説明した。呪いなんてもの普通は信じてくれないのかもしれないけど、この神々の義眼で見えているものは確かにそこにあるものだ。それはライブラのみんなも理解している。
「で、あいつは人間か?」
「……よくわかりません。異界人のようには見えないですけど、あの禍々しいオーラは人間の出せるものとも思えません。」
aさんはこのままで良いって言うけど、あんな恐ろしい目をしたあいつが何をしたかなんて想像しただけで体が震える。
「気付いたか?ロニーとかいうやつの他にもあの店には堅気じゃねぇやつがうろうろしてやがった。」
「え、本当ですか?」
ザップさんはジッポを取りだし、煙草を吸い始めた。甘い蜂蜜の香りに煙草の臭いが混ざる。
「俺たちを摘まみ出した二人と、俺がaたんの手を握った時に睨み付けて来たやつが他にも何人かいてよ。反応した理由とタイミングを考えるとそいつら全員仲間っぽかったからな、雰囲気から察するにマフィアかなんかじゃねぇの?」
「じゃあaさんは……。」
「マフィアの女ってことなんだろうな。そんな風には見えねぇけど、マフィアの女にも色んなやつがいるからな。」
マフィアの女を語るこの人は、そんな人にも手を出したことがあるんだろうか……なんて恐ろしくて聞きたくもないけど。
「このシマがどのマフィアの縄張りか知らねぇけど、きっとスティーブンさんは知ってるんだろうな。」
一度戻って聞いてみようか。aさんやロニーのことが何かわかるかもしれない。でもライブラには関係ないことだから、頼るべきではないのかもしれない。
「レオ、俺も手伝ってやるぜ。」
「ザップさん……!」
感動した。まさかあのクズで下品でクズなザップさんが他人の為に動こうとするなんて……!俺は今までザップさんを誤解してました……!
「呪いを解いた暁にはaたんが俺に惚れてデートが出来るはず……!」
「動機不純だなぁ、おい!!」
感動を返せ!!
20160723
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