「悲しい話だ……!」

もういい加減うるさいなぁ……。
朝起きたら隣に私が居なかっただけでかれこれ10分も悲しい話をし続けている。起こしたのにグラハムが起きなかっただけだっつーの。

「俺はもうaに見放されたのだろうか!」
「あーはいはい、そうかもねー。」
「か、悲しい話だ……!最早神にも見放された気分だ!だが俺は神など信じてはいない!じゃあ何に見放されるのが一番悲しいかというと、aに見放されるのが一番悲しい!と言う事はaは神に値するのではないだろうか!女神だ!やばい、嬉しい話をしたくなってきた!aという女神と付き合っているというのは嬉しい話をするしかないだろう?!」

何だか聞いてて私が恥ずかしくなってきた……。良かった、他に誰も居なくて。いやでもシャフトくんが居たらこの話を止めてくれたかもなぁ……。
此処に居ない人の事をぼんやり考えながら入れたての紅茶を飲んだ。嬉しい話をしているグラハムを放っておいて、朝食に焼いたトーストをかじった。
うん、美味しい。流石シャフトくんオススメのパンだわ。彼に聞く美味しい物にはハズレがない。今度美味しいパスタ屋さんでも教えて貰おうかしら。

「……だと俺は思うんだが、aはどう思う?!」
「あ、ごめん。聞いてなかった。」
「……!」

急に話を振られ、ついぽろりと素直に言ってしまった。悲しい話が始まってしまう事はわかりきっているのに。どうせ話を聞くなら楽しい話が良い。……聞いてなかったけど。

「悲しい話だ!aは俺の話を聞いていなかった!その間aの心を占めていたモノを壊してやろうと思う!それは何だ!a、俺に教えろ!」
「ごめん、他の男の事考えてた。」
「……!」

面白がって本当の事を言うと、本日二度目の絶句する彼が見れてちょっと笑えた。

「シャフトか!シャフトなのか!!あいつシャフトのくせに生意気だ!見るも無惨なまでに壊してやる!!」
「こらこら、誰もシャフトくんだなんて言ってないでしょー?」

正解だけど。

「悲しい話だ!俺はただaを他の男から守りたくて壊してやろうと思っただけなのに……!」

それがダメなんだと思わないんだろうか、この男は。

「ダメだ……!もうダメだ……!aに見放されては生きていけない……!何と言う悲しい話だ……!」

ああやっぱり悲しい話は聞きたくないなぁ。でもグラハムは言っても聞かないし。そんな時、私がする方法は一つだけ。

「グラハム。」

名前を呼んでこちらを向いた瞬間に、彼の唇を私のもので塞いでやった。勿論彼は悲しい話をするのを止め、舌を絡めてきた。長いキスが終わると私は言った。

「グラハム、朝食出来てるけど?」
「……いただこう。」









20090429
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