「ねーグラハム!一回ぐらい一緒に写真撮ろうよ!」
「嫌だ!」

珍しく一言できっぱりと意思表示をされてしまった。
何でそんなに嫌かなぁ……。まさか魂を取られるとか何処ぞの島国の人間みたいな事言うんじゃないでしょうね?!

「どーしても、嫌?」
「……嫌だ。」
「……わかった。」

もういい。拗ねてやるんだから。
グラハムから少し離れて背中を向けて座ると、彼は追い掛けて来て後ろから私を抱きしめた。

「すまない、a……。不安だったんだ。」

え、まさか本当に魂取られるとか思ってんの?!
後ろを見ると私の肩に顔を埋めてるグラハムの綺麗な金色の髪しか見えなかった。私を抱きしめる力が強くなり、グラハムの様子が何時もと違う事に気が付いた。

「グラハム……?」
「俺は……そんなに長くは生きられない。そう簡単に殺されるつもりも死ぬつもりもないが、100年しか生きれない。不老不死のaからしたら短い時間だろう?」

そう。たった100年しかグラハムとは一緒に居られないんだ。だから……。

「写真を残す事で俺がもう過去の事になってしまうんではないかと不安なんだ……。aの気持ちを疑ってしまうなんて俺は最低の男だ!悲しい、悲しい話だろう……?これはそんな俺と付き合っているaにとっての悲しい話だ!」

最低なのは私の方だ。私は、自分の事しか考えてなかった。不安に思うのはグラハムも一緒だったのに……。

「ごめんね、グラハム……。」

私は体を反転させ、彼の胸に顔を埋めた。青い作業着を掴む私の手が、震えているのがバレれないように力を入れた。

「ごめんね……。」
「a……?」

これから私は100年200年、1000年と果てしない時間を生きていく事になる。
その限りのない時間の中でグラハムを忘れて行くのが、怖い。勿論忘れるつもりはない。でも記憶はどうしても薄れて行く。せめて顔は忘れたくないから、写真を撮りたかったのだけど……。彼を悲しませるのなら、それもしない事にした。
その代わりにこれからは今まで以上にグラハムに会いに来よう。彼の声を忘れないようにもっと話をして、彼の温もりを忘れないようにもっとハグをしよう。
思い出すのは笑顔が良い。私が笑えばグラハムも笑ってくれるよね?明日からは毎日笑うから、今は、今だけは……




く事を



20090510
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