「グラハムぅ?」
どうせ何時もの廃倉庫で解体でもしてるだろうと決め込んで来たら、何故か誰ひとり見当たらなかった。
あれー?折角来てやったのに。バカハム!
きっとグラハムが解体するんであろう車のボンネットの上に座った。
ああどうしようかな。帰っちゃおうかな。
「……a?」
「あ、グラハム。」
もう帰ってしまおうかと思った瞬間、グラハムが帰って来た。あの何時ものでかいレンチをからからと引きずって、ふらふらとこっちにやって来た。
「グラハム……?」
何やら様子がおかしい。何時もはうるさいグラハムが、黙って私の目の前で足を止めた。言葉通り、目の前だけど……息が掛かりそうなくらい近いんですけど!
「あれ、グラハムもしかして……んっ……!?」
言葉を紡ごうとしたら遮られてしまった。何だ、その……グラハムの唇で……。
「ちょ、………んっ……っ……!」
文句を言ってやろうと口を開いたのが間違いだった。少しの隙間からグラハムの舌が入り込んで来た。しかも逃げ出そうとすると後頭部に手を回され、固定されてしまった。彼の思わぬ行動にくらくらして来ると漸く唇が離れた。足りなくなって来ていた酸素を吸うのに気を取られていると、そのまま押し倒されてしまった。
「きゃあ!」
痛っ!地味に頭打ったんですけど!
押し倒されたと言うより、全体重をかけられた。息を吸い込むとさっき言いかけた事を今度こそ言った。
「グラハム!あんた酔っ払ってるでしょ!」
さっきキスされた時酒臭かったんですけど!酒弱いんだから飲むなっつーの!
「……ぐー……。」
って寝てるし!
バカハム!ファーストキスだったのに!
でもちょっと嬉しいと思った自分が居たなんて絶対認めないんだから!
取り敢えず幸せそうに眠るグラハムをレンチで殴ってやろうと思った。
認めないったら認めない!
20090523
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