aさんは何故か私、シャムの個体を全て把握している。
そして個体を見付けては何かと話掛けて来るのだ。

「はぁい、シャム。」
「…なんでしょう、aさん。」
「ううん、何でもないわ。シャムと話がしたかっただけよ。」

この個体だって彼女に教えた事はない。最初はヒューイから教えられて知っているのかと思ったが、報告していないこの個体にさえ彼女は見分けてしまっている。

「ふふっ、どうやって個体を見分けているか考えてる?そんなの簡単よ!」

彼女は楽しそうにこの個体に腕を絡ませてきた。

「私がシャムを愛しているからよ!」

そう笑う彼女は何を考えているのかわからない。
ヒューイによって造られたホムンクルスのひとつでもある彼女。だかしかし決して従順なわけではない。私がヒューイに報告していないこの個体を彼はまだ知らないままだ。
私には彼女が何を考えているのかわからない。愛しているなどと……信じられるわけがない。

「私だけがシャムを理解しているの。一人じゃ寂しいでしょう?私がずっと側にいてあげるわ!」

ああ、彼女は何も知らないのだろう。私が何も知らなかったように、彼女も。
私達は似ているのだ。

だが私はもう違う。

「最近はリカルドやグラハムさんもいてくれるので、寂しくはありませんよ。」

ずっとそらしていた彼女の目を見て言った。

「独りなのは貴方の方でしょう?」

私は彼女の手を振りほどいた。









20130123
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