「シャフトって何でも知ってるよね。」
そう言ったのはアジトであるこの倉庫に時々顔を出す女性。
たまに差し入れてくれる彼女の手作りのお菓子が俺達の密かな楽しみだったりする。
「何でもだなんて、そんな事ないっすよ。」
俺が知ってるのなんて精々グラハムさんの迷惑さ加減ぐらいだろうか。……あとはレンチの痛みとか。
「ううん、知ってるじゃない。大小問わずこの国で同時に起こった事ですら知っているでしょう?」
「…………。」
「私が昨日職場に忘れた物もシャフト、貴方じゃない貴方が届けてくれたじゃない。」
ありがとう、と彼女は微笑んだ。
彼女はシャフトがシャムであるという事を知っている数少ない人間だ。怖がる事もなく、それを受け入れてくれている。
ただ、彼女はどれがシャムの個体であるか知らないはずだ。
「そうっすね……確かに貴方が昨日忘れたストールを届けたのは『俺』です。でも何でわかったんですか?」
クスクスと笑う彼女は何処か楽しそうだ。
「ほんとシャフトってば何も知らないのね。何も気付いてない。」
微笑みながら彼女はさっきとは真逆の事を言った。
「私、シャフトが絶対に知らない情報を持っているの。」
シャムとしてなら、知識はそれなりにあるはずだ。だいたいの出来事も把握している。
では、彼女が言っている知らない情報とは何なのか、シャムの個体を知っているのは何故なのか……事と次第によっては彼女の対応を考えなければならないのかもしれない。
背中に嫌な汗が伝うのを感じた。
「私ね、誰が来てもシャムだってすぐわかるのよ。シャフトと同じ空気が流れてるんだもの。」
見ただけでわかるというのだろうか。そんなはずはないのだが……。
「だってね、私」
「シャフトの事を愛しているもの。」
ねぇ、知ってた?
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20121222〜20131201
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