『a、大人になったら結婚しよう!』
顔を真っ赤にして言った少年はよく知っている人物だった。幼なじみのフィーロ・プロシェンツォだ。
「え、クレアじゃなくて!?」
思わず夢にツッコミを入れつつベッドから飛び起きた。
懐かしいなぁ。夢に出て来たのは10年くらい前のフィーロだ。でも台詞はクレアみたいな事言ってたぞ??
こんな夢を見た理由はわかってる。昨日クレアが婚約者を連れて来たからだ。クレアには勿体ないくらいの綺麗な人だった。でも何で夢に出て来たのはクレアじゃなくフィーロだったんだろう。ちょっとそれが面白かったので、アルヴェアーレに行ってフィーロに夢の話をしてみた。
「面白くない?クレアじゃなくてフィーロってとこがポイントなんだけど!」
笑いながらフィーロに報告すると、彼は眉を顰めた。
「……覚えてないのか……?」
「え?何が??」
そう言うとフィーロは視線を反らした。
……あ、怒っちゃった。
フィーロが私に怒るのは珍しくて、いつもは私が我が儘言っても呆れるだけで怒った事は滅多にない。だからフィーロが怒ると困ってどうしたら良いかわからなくなるのだ。
「……えっと……フィーロ、くん……?何をそんなに怒っているのかな……?」
「……さあな。」
ああやばい。何に怒ってるのか教えてくれないよぉ……。
いや、怒ってる理由の予想はついてるんだけど……きっと合ってるんだろうけど……いやでもまさか…………夢でフィーロが言った言葉は、実際に私が言われた言葉……だったりする……?いやでもほら、フィーロだし!クレアならありえるけどフィーロだし!……でもそれ以外に怒ってる理由が見付からないんですけど……。
「あの、フィーロ……。もしかして……本当に私に言ってくれた事、あったりする……?」
意を決して恐る恐る聞いてみると、そっぽを向いたままのフィーロの顔が少し赤く染まった。
ほ、本当に言われた事あるんだ……!何で私覚えてないんだろ!
「フィーロごめんね、覚えてなくて……。だからね、もう一回言って欲しいな……。」
「はぁ!?い、言えるかよ!子供の時とは違うんだぞ!?」
「フィーロは私の事嫌い……?」
「き、嫌いなわけ……。」
服の袖を掴んで上目遣いで聞けばフィーロは顔を真っ赤にして金魚みたいに口をぱくぱくさせた。更に視線を泳がせているのはフィーロが言葉を探してくれている時だ。もう少し待てばフィーロはきっと言ってくれるはず。彼から甘い言葉を引き出させるのは時間が必要だ。
明日は赤毛の幼なじみに婚約者を紹介してやろう、そう思うと口元が緩んでしまうのを抑えられなかった。
私の婚約者を紹介します。
20090427
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