街で小さな子供連れの家族を見掛けた。家族三人仲が良くとても幸せそうで、柄にもなく少し羨ましく思った。

「素敵な家族ですね。」

何気なく、隣に居た彼女に言った。きっと同意してくれると思っていたので、私を見上げた彼女の顔が今にも泣きそうな表情だったことに驚いた。

「a……?」
「……ラックも子供が欲しい?」

何故そんな事を聞くのだろうか。私は慎重に言葉を選んで答えた。

「……絶対に、とは思いませんが……aとの子供は可愛いだろうなと思います。」

変わらず表情が晴れないままの彼女に聞いてみる事にした。

「aは子供が嫌いですか?」
「……ううん。子供は可愛くて好きだよ。」

では何故、そんな顔をするのだろうか。

「aが何を思っているのか教えてくれませんか?」
「……ラックは不死者になって嫌だと思った事はない……?」
「……aは嫌だと思っているんですか?」

もう喰われてしまいたいと、思っているんですか?私はaと離れる事など考えられないというのに。

「……別れが、辛いの。」

そう言った彼女の声は少し震えていた。

「大切な人が死んで、取り残されて行くのが嫌なの。私とラックの子供が死ぬのに立ち会う事に、私は耐えられる自信がないの……!」

ついに泣き出してしまった彼女を私は力任せに抱きしめた。
この不老不死の力は遺伝する事は決して無い。という事は子供の死に必ず出くわすという事だ。……その悲しみはきっと、想像出来ないくらいなのでしょう……。

私達はあれからもう100年の時を過ごして来た。その間に沢山の別れを体験して来た。あの時あの場所であの酒を飲んだ人達以外はもう居ない。……誰一人。
彼女は少し疲れてしまったのかも知れない。気が付けば彼女は新しい人間関係を築くのを止めてしまっていた。

「私が居ます。私は絶対にaから離れたりしません。だから……。」

aも私から決して離れないで下さい。
別れが辛いのは、私も同じです。

でも新しい出逢いというのも素晴らしい事だとは思いませんか。新しい生命が誕生する事は何度体験しても奇跡的な事だとは思いませんか。
人と関わる事を恐れないで下さい。疲れたのなら今は泣いていても良いんです。少し休んだらまた笑って下さい。

貴方が泣いていると私も泣いてしまいそうなんです。だから……。









20090526
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