最近ガンドールファミリーの一員になったa・bという女性がいる。
若い女性にも関わらず、体術を使いこなし、フィーロ程でもないがナイフの腕もなかなかに良い。
技術面では問題無い彼女だが、一つだけ私の頭を悩ませる事があった。私達とコミュニケーションを取ろうとしないのだ。仕事に影響は無いのだが、他の構成員から何を考えているのかわからない、と評判は良くないようだ。
そんな彼女の母親が亡くなった。
それを私が知ったのは、彼女を見なくなってから一週間も経った日の事だった。
「aさん。」
心配になり家を尋ねると、目を赤く腫らした喪服姿の彼女が出て来た。
「ラックさん……。」
「大丈夫ですか?」
大丈夫でないのは目に見えてわかったが、何か声を掛けないと彼女が消えてなくなりそうだった。
「私……独りになってしまいました……。」
そう言う彼女の唇は震えていた。
「父も幼い頃に他界して……もう失うのは嫌だったのに……。」
初めて、彼女の感情を見た気がした。
「失うのが怖くて……ガンドールの皆さんにも、必要以上に関わるのを避けていたんです……。」
目から大きな雫を零した彼女を、私はただ抱きしめる事しか出来なかった。
抱きしめた彼女はとても小さくて細くて震えていて……守ってあげなければと何処か思った。彼女の実力は決して弱くないのに。
涙するその姿は、いつもの彼女とは別人のように感じた。彼女は人と関わる事に関してとても臆病だった。
彼女はこの家で、この小さな世界で独り、何を思っていたのだろう。
失う悲しみを知っているのは私も同じで、それはいつまで経っても慣れるものではない。
「私は決して貴方の前から居なくなる事はありませんから。」
それが貴方に少しでも安心して頂けると良いのですが……。
静かに泣く彼女を私はただただ抱きしめ続けた。
それが恋の始まりとは誰も知らず
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壱周年フリリクのラック夢。さきさまリクエスト有難うございました!
20121007
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