外に出ると昨日の晩から降り続いていた雨がやんでいた。一番高い位置まで登った日の光が眩しい。空を見上げるとくっきりと綺麗な大きな虹が掛かっていた。
虹なんて久しぶりに見た気がする。虹を見ると思い出す女性がいる。

「ラック、虹が出てるよ。」

彼女はそう言っては雨上がりの外を歩くのが好きな人だった。虹が出ていなくても虹を探しに行っていたし、虹が出ていれば根本を探しに行っていた。

「虹の根元には宝物があるんだよ。素敵だと思わない?」

きらきらとした目で話す彼女は年齢より少し幼く見えたけれど、とても可愛らしかった。彼女と虹の根元探しという名のデートにも何回も誘われた。ただ歩いているだけの日もあったけれど、彼女と一緒にいるだけでとても心が安らいだ。
彼女の、aの隣にいるだけで幸せだった。

「ねぇラック、好きだよ。」

少し恥ずかしそうにそう言うaが可愛くて愛おしかった。
aに会いたい。
aに会って手を繋ぎたい。艶のある長い髪に指を絡めたい。ぷっくりとした唇に触れたい。aに会いたくて仕方ない。
久々に会いに行こうか。虹が出ていることを伝えれば喜ぶでしょうね。
ああでもそうだ、そうでした。貴方はもう、

とうの昔に死んでしまったんだった。









20150526
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