200年振りに会っても何だかんだで皆変わらないな、と思った。
否、変わったのは私の方だ。だから余計に皆が変わらなく思えるのかも知れない。
だが私の他にもう一人、変わってしまったと思った人間がいた。
a・b。
あの船の上では無邪気に笑う笑顔が印象的な可愛らしい人だった。だが今目の前に座っている彼女はまるで人形のようだ。無表情のまま喋ろうともせず、目はどんよりと闇をうつしている。
aは200年もの間、私と似たような目に合っていた。私は奴を喰う事であの苦しみから解放されたが、aは自分の心を殺す事で苦しみから逃げようとした。
結局、aを苦しめていた錬金術師はセラードに喰われてしまったようだった。そのセラードより私の方がaを早く見付ける事が出来たのは、運が良かったとしか言いようがない。
「a……。」
名前を呼んでも何の反応もない。
……私は、aにまた笑って欲しかった。私がまた心から笑えたように、aにもまた心から笑って欲しかった。
自分より少しだけ大きな彼女の手を握ると、温かさが伝わりちゃんと生きているんだと確信出来て何だか安心した。可笑しな話だ、私達は死ぬ事などないというのに。
「……私に出来る事はないか?どうしたら、どうしたら……」
以前のように私に笑いかけてくれる?
その時、200年振りにaと目が合った。そして掠れた小さな声で、でも確かにその言葉を言った。
「……私を……食べて……。」
aと再会出来て良かったと思っていたのは私だけだったようだ。
彼女はもう、生きたいと思っていなかった。死ぬ事を望んでいた。
私は……aと共に生きて行きたいと思っていたのに……。
視界が歪み、頬を冷たいものが伝った。
私が、選んだのは……。
君を思うが故の選択
20090401
戻る
main
TOP
ALICE+