「可哀相。可哀相過ぎる。」
「酷いなぁ。」

はぁ、と溜息を吐こうが何を言おうがエルマーは何時もの笑みを絶やす事はなかった。スマイルジャンキーと呼ばれる彼がこれくらいで表情を崩すわけがないのはわかってるんだけど、……むかつく。それをわかってる自分にもイライラする。

「だったらせめて働きなさいよ!父親が無職だとか教育上よくないし!私達は良いけど、この子はどうやって食べさせて行くのよ!」

私はそっとお腹に手を触れた。
私の中には小さな命が宿っている。不覚にも目の前のへらへらとした男との子だ。
不老不死の私達とは違って子供は不老でも不死でもない。死んで行く自分の子なんて見たくなかったから……子供を作る予定なんかなかったのに。

「どうにかなるよ。そんなに怒ってばかりいないで笑おう!」

ダメだ、私がしっかりしないと……!最終的には何時もこの台詞だし。こんな男なんて頼りにしないで、私が働いて養っていかないと……!

「イライラしてばっかりだと体に悪いよ?」
「イライラさせてるのは誰のせいよ!」

マイザーからもガツンと言ってもらおう。ヒューイは……ダメだ、子供がどうなるかわからない。黙っておこう。

「aは嫌なの?」
「何が!」

「俺との子が出来て嬉しくないの?」
「…………!」

馬鹿だ、私。ずっとイライラしたままで、エルマーを不安にさせてた……。

「そんなわけないじゃない。」

不安もあるけれど、嬉しくて嬉しくて仕方ないんだよ。愛さずにはいられないんだよ。

「じゃあ笑おう!」
「……馬鹿。」

笑みが零れてしまったのはやっぱり幸せだからなんだろう。









20101101
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