この両手を繋ぐ手錠が付けられてから、一体どれ程の時間が経っただろうか。ここには時計も窓もなくて時の流れが全くわからない。ただ自分が確実に衰弱して行く事にだけ、時が経っているのを感じた。
……ヒューイは私を一体どうしたいのだろう。
食事も水さえも与えられず、殺す気なんだろうか。だったらラミアやレムレースに命令すれば、戦う力なんてない私なんかあっという間に殺されるのに。
少しぼやけた視界に、私を監禁した張本人のヒューイ・ラフォレットが入って来た。
「食事を持って来ましたよ、a。」
どうやら殺す気はないようだ。それにしてはギリギリまで弱らせてどうするつもりなのだろうか。
ヒューイはトレイに乗せられたスープを私に見せた。
「食べたい、でしょう?」
当たり前じゃないか。食べなければ本当に死んでしまう。
「差し上げます。……ただし、こちらも飲んで頂きますがね。」
そう言って取り出したのは一つの瓶。ガラスの色が濃くて中に何が入っているかまではよく見えなかったが、私にはそれが何なのかわかってしまった。
不死の酒。
以前にもヒューイに飲めと言われた事があるものだ。私は不死になんて興味がないから断ったはずだけど。
ヒューイを睨むと、彼はいつもの余裕な笑みを浮かべて言った。
「ええ、わかってます。ですから賭けをしませんか?」
賭け?
そう言ったヒューイは先程と同じ瓶を更に二本取り出した。
「一つはただの水です。もう一つは意識を乗っ取られる水。そして不老不死の酒。aがただの水を当てれば貴方の勝ちです。」
どうしてヒューイはここまでして私を不老不死にしたいのかわからない。
ただわかるのは私は選ばない限り、ここから出られないという事だけだ。
私は並んだ三つの瓶を見つめた。
君が居ない世界なんて
20090726
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