もう寝ようかと思った矢先、家の呼び鈴が鳴った。
普通はこんな夜更けに尋ねて来るような人は無視されるのかもしれない。だが私には尋ねて来る人物に心当たりがあった。ほぼそれが誰かを確信して扉を開けた。

「よぅ、a。」
「ラッド。」

尋ねて来たのは想像通り、ラッド・ルッソだった。
別に約束していたわけではなかったが、今までもこうやって夜中に突然来る事が時折あった。そして毎回血まみれだ。これは決してラッドの血ではない。ラッドの殺した自分が死ぬとはこれっぽっちも思っていなかった人物の返り血だ。そして今回も勿論服や手を真っ赤に染めて来ている。

「部屋に血痕が残っちゃうじゃない。」
「わりぃわりぃ。シャワー借りんぞ。」

許可をする間もなく、ラッドはバスルームに入って行った。これも何時もの事だ。仕方ないので着替えの服を出しておいた。ラッドが私の家に来るようになって、いつの間にかラッドの服が何着かあるのが当たり前になっていた。


暫くして、バスルームからラッドが出てくる気配がした。だが私は既にベッドに潜り、既に眠る体勢に入っていたので無視する事にしよう。
ギシリと音がしてベッドが沈むのがわかった。ゆっくり目を開けると上半身裸のラッドが私に覆いかぶさっていた。準備した者としてはちゃんと服を着て頂きたい。

「なぁに拗ねてんだーa?」
「……拗ねてなんか。」

ラッドの濡れた髪から滴る雫が私の頬を濡らした。

「心配しなくてもちゃーんとお前も殺してやるからなぁ?」

ラッドの手が私の首にのび、少し力を入れられた。

「っ……!」

こんなの……こんなのじゃ、死ねない。ただちょっと苦しいだけだ。
不意にラッドの顔が近付いたかと思うと私の口に噛み付いた。キスをされた、と言うにはそんな甘いものではないのかもしれない。舌をからめとられ、ラッドはただでさえ少なかった私の酸素を更に奪って行った。

朦朧とする意識の中で私は確かに幸せを感じていた。

急に唇と手が離され、肺に酸素が流れ込んできた。

「っ……げほっ……っ!」
「a、お前はまだ殺さないぜぇ?もっと苦しめて苦しめて苦しめて苦しめて殺してやるからよぉ。」

私は自然と微笑んでいた。
もっと、もっともっともっともっともっと苦しめて欲しい。私が苦しめば苦しむほど愛しいラッドを感じて死ねるから。








20090314
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