気が付いたのはあれからどれくらいの月日が流れてからだったのだろうか。
船を下りてからの私は、心にぽっかり穴が空いたように何もする気になれず、生きる気力さえ……失ってしまいそうだった。
グレットを始めとする沢山の同胞達を失ったのは、私のせいだ。私が悪魔なんか呼び出さなければ、……こんな事にはならなかった……。
でも誰も私を責めなかった。責めてくれた方が良かったのに。
「マイザーのせいなんかじゃないわ。」
ふわっとした温かいものに包まれたような気がして、そっと目を開けた。
「a……。」
彼女に優しく抱きしめられていた。
この時船を下りてから初めて彼女の存在に気が付いた気がした。彼女はずっとそばに居てくれたのに。
「ねぇ、マイザー。私がずっとそばに居てあげる。だから、マイザー……、」
彼女はその後に何を言おうとしたのか。彼女自信がその言葉を飲み込んだのかもしれないし、私が彼女の唇を塞いだから紡げなかっただけなのかもしれない。
「っ……!」
彼女の舌に自分のを絡ませながら、私は彼女を押し倒した。
私は彼女の温かさに、優しさに、甘えてしまったのだ。
首に胸元に唇を落とし彼女の温かい肌に直接触れると、震えた声が聞こえた。
「ま、マイザー……。」
名前を呼ばれて私は我に返った。
改めて彼女を見れば、髪は乱れ、外されたボタンのせいで見える白い肌、その白い肌に浮かぶ赤い痕……私は最低な男だ。潤んだ彼女の瞳に胸が痛んだ。
「すみません、a……!」
こんなの……謝っても謝りきれない。許してもらえるはずがない。彼女は泣いてしまうだろうか。それとも怒って叩かれるだろうか。だが真緒は無理をしているようだが、私の予想に反して微笑んだのだ。
「大丈夫。大丈夫よ、マイザー。」
私は自分がどれだけ愚かな人間かを思い知らされた。私は誰かに責められたかったのだ。その為に彼女も、自分の秘めていた淡い恋心も利用して。
私はこのまま彼女への思いを秘め続ける事を誓った。彼女にこの気持ちを伝えるなんて出来ない。私はきっとまた彼女を傷付けてしまうだろうから……。
例えそれで彼女が他の誰かと付き合う事になろうとも、彼女が傷付く姿を見たくはないんです。
そばに居てくれる理由にも目を閉じて
20090822
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