私の側にいるこの男は不審極まりない。何故なら顔を見られるのを嫌う。じゃあ話し掛けて来なければ良いのに。
「a。」
名前を呼ばれても、どうすれば良いのかわからない。
私は振り返らなかった。
人間なんて嫌い。でも私にはもうこの男しかいない。
私には家族はもういないのだ。戦争で、家族も住む家もなくしてしまったのだ。
私もケガをしてしまい、動けなくなっている所を拾ったのがこのナイルと名乗った男だった。
「話し掛けないで。」
人間なんて嫌いだ。戦争なんかする人間なんて嫌いだ。私の家族を奪った人間が嫌いだ。家族を奪われても何も出来ない自分が嫌いだ。
「私の居場所を帰して……。」
この男に言ったって、泣いたって仕方ないのはわかってる。寧ろ私がこの男に言うべきなのは礼なのだ。この男に拾われなければ、きっと私も死んでいた。
「a。」
もう放っておいて欲しい。貴方に酷い事言ってしまう前に、此処から去って欲しい。どうせいつかは居なくなってしまうのでしょう?
「俺がお前の居場所になってやる。」
その言葉に思わず振り返ったが、彼が何を考えているのかわからなかった。
「共に来い。」
それでも差し出された手を私は無意識に取っていた。
嬉しかったのだ。寂しかったのだ。
もう独りは耐えられなかったのだ。
「……ナイル、ありがとう。」
恥ずかしくて小さく囁いた言葉は彼に届いただろうか。
この手を離さないで
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壱周年フリリクのナイル夢。あなたの(ryさまリクエスト有難うございました!
20121230
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