「あーっ!!」

とある街中で騒ぐ声が聞こえたから振り返ってみれば、その声の主はこの俺を満面の笑みで指差していた。なんだこいつ。と思ったが、数十年振りに会った仲間だった。相変わらず煩い奴だ。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら近付いてきたこいつは街の人間の視線を少し集めていた。あれだけ大声を出せば当たり前か。

「久しぶりじゃん!あーあーあー名前なんだっけ!」
「敢えて言おう、失礼な奴だな。」

昔から変な奴だったが、あの船で散々一緒にいた俺を忘れるとは本気だろうか。寧ろ付きまとってきたのはお前の方だというのに。

「ちょっと待って!今思い出すから!えーっと、なんか川の名前みたいな…………信濃川?」
「なんだそれは。」
「私の国の川の名前。」

怒りに任せて目の前の女、aの胸ぐらを掴むとこいつは顔色を変えずに笑っていた。こいつよりまわりに居る人間共が、仮面の男が笑う女の胸ぐらを掴んでいる事に動揺を見せている。視線に気が付いているのかいないのか知らないが、どちらでもaは気になどしない奴だ。

「あはは!冗談じゃんかよー笑えよナイルぅー!」
「お前は相変わらずエルマーと気が合いそうだな。」

スマイルジャンキーと呼ばれたあの男とaは昔から仲が良かったはずだ。今のような似た台詞が出てきても不思議ではない。

「まあまあ!久々に会ったんですからデートでもしましょうかー!」

手を離せば俺の腕を掴んで落ち着きもなく跳ねながらaは言った。
まわりは胸ぐらを掴んできた人間をデートに誘うという展開に驚いているようだ。その視線が煩くてそろそろ我慢の限界だ。

「敢えて言おう、少しは落ち着け。」

そう言うと跳ねるのを止め、腕に顔を擦り寄せてきた。









20140119
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