口の利けない私はまともな仕事にも付けず、そのうち町の片隅で野垂れ死ぬ運命なんだと思っていた。私なんて要らない存在なんだと、ずっと思い続けていた。
だから混乱し続ける私には何がどうなって自分が此処に居るのか、よくわからなかった。
「本当に酷い事をする……。」
目の前の彼が、エスペランサ様が私の青くなっている目元に触れた。
触らないで下さい。私は汚いから、触らないで下さい。
思わず顔を反らしてしまったのをエスペランサ様は顔の痛みのせいだと思ったのか、眉間にシワを寄せた。
「女性に手をあげるなど……!」
エスペランサ様は私なんかの為に、私の体中に痣を作った以前の雇い主に怒ってくれているようだ。
エスペランサ様は優しい。こんな醜い私に居場所を与えてくれた。エスペランサ様の元でメイドとして働かせて貰える事になったのです。
「aさんに会えて私は幸せです。」
いいえ、それは私がエスペランサ様に伝えたい気持ちです。どんなに感謝しても足りないくらいです。これ程口が利けない事を悲しく思った事はありません。貴方様の名前を呼ぶ事すら出来ないなんて……。
でももし、貴方様の名前を呼べたのなら……
恐れ多くもこの恋心を隠す事が出来ないのでしょう。
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壱周年フリリクのエスペランサ夢。毬也さまリクエスト有難うございました!
20100523
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