「a、君の事が好きだよ。」

照れたように微笑みながら目の前の男は言った。

「艶やかなその光のような綺麗な長い髪も、エメラルドのような瞳も、ぷっくりとしたふくよかな唇も、陶器のような白い肌も、力を入れたらすぐ折れてしまいそうな細い体も、全部、全部、愛おしくてたまらないんだ。」

思わず笑いそうになる。フェルメートの本性を知っている私としては彼が何故こんな風に私への言葉を並べる理由がわからなかった。さっきから優しく手を握っているのもやめて欲しい。もしかして私で遊んでいるのだろうか。私がフェルメートの本性に気付いている事は彼本人も知っているのだ。
彼の演技に騙されているまわりは、彼からの求愛行動に羨ましがったり、微笑ましい眼差しで私達のやりとりを見守っていた。腹立たしい事にフェルメートと付き合っていると思っている奴もいるのだ。心外だ。彼の本性に気付いていないまわりの人間にイライラするが、彼の演技が徹底されているので仕方ないのかもしれない。例え私が彼の本性を言いふらしても信じてもらえないほどには徹底されているだろう。そんなやっても無駄な事はしないが。

はっきり言って、フェルメートは嫌いなタイプだ。いや彼の本性を知れば誰も好みのタイプだとは言わないだろうが。彼の本性を知って嫌っている私だからこそ、フェルメートにこうやって遊ばれているのかもしれない。

「a、君は私の事を愛してくれていますか?」

私の事をただの玩具としか見ていないくせに、この男はなんと答えて欲しいのだろう。こいつが私に飽きて自ら手離してしまわない限り、私は籠の中の鳥のように捕らわれたままなのだ。この問いの答えがYESでもNOでも彼の手の内から逃げる事は出来ないのだろう。どちらを答えても彼の思うように私を、世界を、動かしてしまうのだろう。腹立たしい。だったら私の答えは、




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20131115
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