「aはダメな子だね。」

そういわれる度に泣きそうになる。いや絶望して生きている意味さえ見出だせなくなる。彼から与えられる痛みさえ受けとめて、私はずっとフェルメートの為だけに生きてきた。今までも、これからも、だ。
じゃあフェルメートに否定されたら私はどうしたら良いというの。
更に私を奈落の底へと突き落とす発言を彼はいつもこう続けるのだ。

「それに比べてチェスは良い子だったよ。」

チェスワフ・メイエル。
彼はフェルメートに愛されている。私より先にフェルメートに出会ったというだけなのに。私の方がフェルメートの事を愛しているのに。現にチェスワフは今ここには居ない。フェルメートの元を逃げ去ったのだ。それなのにフェルメートはそんな子の事ばかり良く言う。それを聞く度私の中で何かどす黒く汚いものが渦巻く。

「ねぇ、フェルメート。」
「なんだい、a。」

優しく微笑む彼の表情が崩れない事を知りながらも私は何度目かわからない問い掛けをした。

「チェスワフを食べても良い?」
「ああ、勿論。」

それは私がチェスワフを本気で食べようとしていると思っていないからなのか、チェスワフが簡単に食べられると思っていないからなのか、それとも他に理由があるからなのか、私に彼の真意を知る術はない。寧ろ変わらない笑みに私はときめきすら感じていた。
でもフェルメートが私をダメな子だと言う理由がここにあるのも知っている。私がフェルメートを好きだからだ。フェルメートの為に全てを捧げているからだ。それがフェルメートにとってつまらなくて下らない存在になっているのだろう。
いっそ彼を嫌いになる事が出来たら良いのだろうか。
微笑むフェルメートの手に握られたナイフによってどくどくと喉から流れる血のように、彼への愛も全て流れ出てしまえば良い。そう思った瞬間から血は私の体内へと戻っていった。

「フェルメート、愛してる。」









*****
五周年フリリクのフェルメート夢。つくさまリクエスト有難うございました!
20140409
戻る

main
TOP

ALICE+