お願い……あの人を助けてあげて……。
私じゃダメなの。私じゃ、私の声じゃあの人には届かないから……。
あの人のそばに居て。あの人を助けてあげて。

お願い。お願いよ、悪魔。




「昔望んだ事を後悔しているのか?」

声を掛けられ、乖離していた意識を現実に戻された。
ここはアルヴェアーレ。ランチを注文して、待っている間に昔を思い出していたようだ。

「……ロニー。」

声を掛けて来た目の前の人物の名前を呼んだ。

ロニー・スキアート。願いを叶えてくれた悪魔で、私の……愛しい人。

「後悔なんかしていないわ。私は、あの人の笑顔を見れるだけで十分なんだから。」

私は少し離れた所に居るマイザーを見た。昔と違う……グレットを失った頃の悲しい笑顔とは違う、本当の笑顔。笑顔中毒者じゃなくてもわかる。

だって私は200年もあの人だけを見てきたんだから。

「強がっていてもマイザーの事がまだ好きなんだろう?」

強がって、って……その言葉を言えなくしたのは貴方でしょう?意地悪ね。本当悪魔が似合ってて嫌になっちゃう。

「……まあいい。」

私の心を読んだのか何がまあいいのか、口癖を発した唇で私に呪いのようなキスをした。
抵抗は出来ない。例えマイザーが見ていても、私はロニーにされるがままだ。

グレットを失った悲しみからマイザーを救う為に私が選んだ方法は、悪魔の力を借りるというものだった。
悪魔は私の願いを叶えてくれた。
ただし、悪魔は私に二つの条件を出してきた。
一つはマイザーに私の気持ちを伝えない事。悪魔の力なのか、一人の時でも言葉に出す事が出来ない。
もう一つはロニーの彼女になる、というわけのわからないものだった。これは悪魔がただ楽しんでるとしか思えない。

「……貴方の事を好きになるよう、私の心も操ってくれれば良かったのに。」
「それでは俺がつまらないだろう?」

悪魔はその名前に相応しいような笑みを浮かべた。

「それに俺はaをちゃんと愛しているぞ?」









*****
マイザーの事を頼んだのがエルマーじゃなくヒロインだったら。
20090328
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