「愛している、a。」
「どうかしらね。」

何度言っても信じない彼女を抱きしめキスをした。

お前は最初からそうだった。俺の言葉はなかなか信じようとしない。不老不死の酒を出した時も訝し気な顔で見ていたし……これは誰もがそうだったか。……まあいい。
だが俺はこの時点でaに惚れていた。お前は信じないだろうがな。
気になってその後も暫くaの様子を見ていた。マイザーの事を好いているのもすぐわかったし、マイザーが悲しんでいるのをお前が俯いて涙しているのも見ていた。辛そうなお前を見ていられなくて思わず声を掛けてしまった。

『お前の願い、叶えてやろうか。』
『……悪魔……?』

顔を上げ、潤んだ瞳で見つめられて胸が高鳴った。全く、俺らしくない。

『嘘、でしょう?私の願いなんか叶える理由がないじゃない。』

素直に願いを言えば良いものを……。

『……お前の笑顔が見てみたい。』
『私の……?……悪魔なのにスマイルジャンキーみたいな事言うのね。』

そう言ってクスリと笑った彼女は思った以上に美しかった。今言った俺の願いはすぐ叶えられてしまったが、その笑顔をずっとそばで見ていたいと思ってしまった。aを手に入れたいと思ってしまった。全く、俺らしくない。

200年経っても未だにaの心は動かない。悪魔と呼ばれる所以であるこの力で何度心を奪ってしまおうかと思った事か。だがそんな事をして手に入れてもそれはaであってaではない。焦る必要はない、俺達には限りない時間がある。そう言い聞かせてきた。

「愛してる、a。」

一目惚れだったと言ってもお前は信じないだろう?

「……、そう……。」

俺を見ないその目はマイザーを見ているんだろうか。そんな目は、見ていたくない。お前は俺だけを見ていれば良い。
俺はaの目を手で覆い隠しもう一度、耳元で囁いた。

「愛してる、a。」

そしてそのまま耳にキスをした。



そのを、を、




20090513
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