さいきょうのふたり
まだ、少し髪が濡れているバスローブ姿のみょうじなまえと白濱亜嵐が机を挟んで座っている。
『何が嬉しくてあなたとなの。』
「まだそれ言ってんの。でも受けたんでしょ」
『anan出たいもん』
「お前、anan出たいとかえっろ」
『私の脳内、エロよりのエロ』
「は、何言っちゃってんの」
『亜嵐は男だからエロ中のどエロでしょ?』
「はあ、」
『私は女だからエロよりのエロ程度で』
「えっと、お前、おんなだったの?」
『はあ?』
どこか険悪な雰囲気のふたりにも見える。
「あれ?おふたり仲良いんですか?」
『「腐れ縁です」』
「あっ、そうなんですね。逆にやりずらくないですか?」
『やりずらいっすけど、仕事なんで』
「こいつすごく愛想悪いですけど、よろしくお願いします」
『それはこいつのせいなんですよ〜。さっきの最低発言聞きます?』
「えーっと、」
「こら、困っているじゃないかー。」
『うっっざ』
「あ、脱ぎます?」
「んー、どうしようかな。まずそのスタイルで何枚か撮っても?」
「『はーい』」
先程の雰囲気とガラッと変わる。さすが女優のみょうじなまえと、GENERATIONSのリーダーとして活躍中であり、今や演技もこなす白濱亜嵐。
大きくあいた胸元、髪をかきあげる仕草、ふたりの艶っぽい目元、口元。スタッフは全員息を呑んだ。
「えーっと、では次はベッドの方に移動してもらって、徐々に脱ぎ始める感じで」
『セックスが始まる感じですか?』
「なまえの聞き方よ。事が始まる前の雰囲気で?」
「あ、はい。それでお願いします。」
直前までのふたりの間のゆるりとした空気がまた一変。すぐにふたりの表情が艶っぽいのに変わり、白濱亜嵐がみょうじなまえのことをベッドに押し倒し、馬乗りになる。
みょうじなまえの長い髪がベッドに広がって張り付き、白濱亜嵐のみょうじなまえを見下ろす横顔とみょうじなまえの白濱亜嵐を見つめる横顔がとても綺麗だった。
美しい光景にいけないものを見ているような、でも目を背けずにはいられないふたりの魅力。
『ねえ亜嵐。こんなことカメラに撮られてえーぶいかよって感じじゃない?』
「女の子がそんなこといわない」
『あれ、さっき私のことおんなだったの?って言ってたやんけ』
「しーっ、なまえうるさい」
『っんん、』
スタッフから小さい歓声が起こる。美しい方たちの行為は全くいやらしさを感じられず、こんなにも美しいものなのか。
「ね、はむはむしてい?」
『はむはむはだめ』
「見てみ。みんな期待してるよ?」
『っち、どーぞどーぞ』
「こーら、おんなのこは舌打ちもやめなさい」
『、んっ』
「っ、はっ、」
『ぁ、・・ん!〜〜!』
白濱亜嵐はみょうじなまえの唇を貪り始めたかと思うと、舌を入れ始めた。こちらの状況をうかがうため、横目でこちらを見ただけだと思うが、その色っぽさにまたスタッフ一同息を呑んだのがはっきり聞こえる。
『亜嵐お前、舌入れやがったな』
「だって、見せ場じゃん?」
『はあ?あのねー』
「あの、そろそろ徐々に脱ぎ始める感じでお願いします」
『だってよ』
「了解です」
まず白濱亜嵐からバスローブの紐を緩め、上半身だけ脱ぎ始め、鍛えられた彫刻のような体があらわになり、また小さな歓声があがった。
『なんでこんなゆっくりあんたの筋肉自慢を下から見なきゃダメなの』
「みょうじさんもお願いします」
『え゛?!』
「ふはは、いいじゃん。なまえやったれよ」
『いいけど、私なにも着てないよ』
「俺も下着履いてないけど、前貼り貼ったよ」
『え、私なにもない』
「え、もらってないの?やっぱお前女だと思われてないんじゃね」
「すみません!スタッフのミスです!」
「あ、大丈夫ですよ。なまえ、なくてもいけるっしょ」
『何言ってんの。ダメでしょ。女優のあんなとこやこんなとこ万一見えたら大変』
「だーいじょうぶ、この亜嵐様に身を委ねなさい」
若いスタッフが慌てて探しに行ったものの、白濱亜嵐はそれを待たずに進める。カメラに大事なところが写らないよう、緊張感が張り詰める。
白濱亜嵐はゆっくりとみょうじなまえのバスローブの紐を解いていく。肩から徐々に脱がせ始め、みょうじなまえの胸元があらわになる前に白濱亜嵐は自身の胸板をぴったりみょうじなまえにくっつけ、またキスをした。
見事、みょうじなまえの横乳は写っているが、写してはいけないところが隠れている。なかなかのやり手だ。
白濱亜嵐はそのままみょうじなまえを抱き支えて起き上がり、みょうじなまえはカメラに背を向けて座り、白濱亜嵐は膝立ちでみょうじなまえと向き合った。そしてお互いのバスローブに手をかけたかと思うと全部脱がし始め、今度はみょうじなまえが白濱亜嵐の肩を押して押し倒し馬乗りになり、深いキスをする。
ほんとに情事をしているかのように徐々にふたりの間で盛り上がっていき、甘い雰囲気と吐息に、みんな見入っていた。
既に大事なところを隠す気はない白濱亜嵐とみょうじなまえに、ギリギリ見えない上手い角度を見つけては写真に収める。僕のカメラマンとしてのプライドにかけて、腕がなるのである。
※おまけ
「お疲れさまでした」
『お疲れさまでした』
「おまっ!なんか着ろ!」
『だってもう皆さんに充分見られたし』
「それでも着ろ!ばか」
『ままかよ』
「ほら、羽織るだけでも」
『亜嵐ありがと』
「お疲れさまでした!今日はありがとうございました!」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました!」
『お疲れさまでした。カメラ大変だったと思いますけど大丈夫でしたか?』
「もうバッチリです!いいもの撮れました!」
『それはそれは良かったです』
「途中から全然気が回らなくてすみませんでした」
「いえいえ!全然大丈夫ですよ!またよろしくお願いします!」
このふたり実際に付き合ってんだろうな〜と思った。一緒のタイミングで現場に着き、いまも一緒に出ていく。そして「俺ちょっと事務所寄ってくわ、先帰ってて」と白濱亜嵐がみょうじなまえに家の鍵なのか、鍵を預けるのも見えた。
なによりも、仮でも行為中の一つ一つの動作、流れが誰が見てもお互いに慣れていた。あれは普段していないと出来ないと思う。一人そんな妄想を掻き立てながら、パソコンに向き合い、ananに掲載する写真選びを始めた。
リクエストありがとうございました!優しい白濱亜嵐ではなく、同級生でなんでも言い合えるような関係がいいと私が勝手に思いつき、少しお互いに口悪いですが・・。ご希望に沿えられたお話しになれば嬉しいです。