きみを想う
ありがたいことに、演技の仕事をさせて頂けるようになった。演技はまだまだだけど、演技の仕事が増えてくにつれて、自信もみなぎってくる。
そして今日は、映画の番宣で局に呼ばれまして、最近はこれまたありがたいことに大忙しなのです。
何回か番宣で色んな番組にお呼ばれしてきたけど、いつまで経っても慣れないし、緊張しちゃう。だからこんな時は楽屋の中でうじうじ緊張してたら余計緊張しちゃうから、広い局内を散歩しながらファンタのことを考えることが一番精神が安定することに気が付いてからずっとそうしてる。
はあ、やっと緊張ほぐれてきて、やる気になってきたよ。
『あ。たいき、くん?』
「あ、れ?なまえちゃん?」
えっと、前言撤回。やっとほぐれた緊張が、更に悪化してきました。心臓がうるさい。
なまえちゃんは、以前共演してから仲良くさせて頂いている。まだ演技ペーペーの僕に基礎を教えてくれた人。同じ歳なのに、演技の経験がすごくて、普段こんなにふんわりしているのに演技となると雰囲気がガラッと変わり何役にでもなれるんだと、色々な人が絶賛しているのを聞いたし、僕も友達になまえちゃんのすごさを言いふらしているんだけどね。
それはそうと、なんでなまえちゃんを見ただけで緊張して、心臓がうるさくなったかと言うと、好き、なんですよね。共演してからだから、かれこれ1年は僕は片想いしています。
『たいきくん!なんでここに?』
「なんで、って、番宣?」
『映画のあれだ!んー、マーマレードジャム?』
「んーっと、ママレードボーイでしたー」
『ありゃ、残念』
な!んだなまえちゃんはかわいすぎるよ。こてんと首をかしげてもう、男を虜にするあざとさのかたまりだと思われます。
「あ、っと、なまえちゃんも、番宣?」
『そうですよー?君の先輩である岩田さんといま番宣で忙しいのです』
「今期のドラマだ!」
『たいきくん見てね?見なきゃ、いたずらするぞ〜』
いたずらするぞ〜って、こちょこちょする真似をしているなまえちゃん。もーかわいい。出来ることならいたずらされたい。
『あ、岩田さん!』
岩田「あだな!時間だよ!あれ、大樹じゃん!」
「お疲れ様です!」
岩田「お疲れさま!大樹、ファンタのほうで忙しいと思うけど、頑張れ!」
「はいっ!ありがとうございます!頑張ります!」
岩田「じゃあ、あだな行くか、」
『あ、また!連絡するね!バイバイ!ファンタ?頑張って!』
「ありがと、バイバイ」
2人の後ろ姿を見送る。なまえちゃんが『ファンタってしゅわしゅわのことですか?』とガンさんにかわいい天然質問をし、小突かれてる光景、見たくないなあ。
ガンさん、なまえちゃんのことあだ名で読んでたなー。岩田さん、大人でかっこいい。僕なんか、なんて。自己嫌悪に陥る。
次の日
またまた番宣で来ました。そして緊張したのでお決まりのお散歩。緊張ほぐれたら楽屋に戻り、台本読んで今日話すことをシミュレーションしたりする。最近のお決まり。
昨日は楽屋に戻ってもなまえちゃんに会ったことで緊張しちゃって番宣噛み噛みだったんだよなあ〜。なんて考えながら楽屋に戻ると、僕の楽屋の前に人影。
「なまえちゃん?!なんで、」
『たいきくん!昨日に引き続き一緒の局なんだね!たいきくんの名前見つけたからノックしちゃいました!』
「ああああ、ごめんね!いま散歩してて、楽屋留守にしてて・・。あ、えっと、入ってく?」
『いいの?おじゃまします!』
なんで、勢いで入ってく?なんて言っちゃったんだろう、なまえちゃんとふたりきり、しかも個室、なんて、どどどどどうしよ!
なまえちゃんはそんな僕の慌てている頭の中なんて知るはずもなく、あっさりと楽屋の中に入っていく。
「と、とりあえず・・・すわ、ろっか?」
『はい!お邪魔します!あ、昨日岩田さんに聞いたんだけど、たいきくんファンタっていうグループなんだね!夢者修行なんて、すごい』
「ああああ、ありがとう!」
『私、たいきくんEXILEさんにいるってことは知ってたんだけど、ファンタさんにいることは知らなくて・・・』
「当然だよ!まだまだなグループだからさ、これからでっかくなってやる!ってみんなで毎日意気込んでる」
『、なんかたいきくんキラキラしてるね』
「そ、そうかな?」
『うん!たいきくんすごく素敵です!』
「ありがとう。なまえちゃん、応援してくれる?」
『もちろんだよ!』
「ありがとう!ああ、あのさ!」
『ん?』
なまえちゃんは首を傾げる。ひとつひとつの動作が、すべてかわいいだなんて重症だよね。
なんで僕こんないきなり告白、しようと思いついたのか。そんな勇気はあるのか?でも、今この想いを伝えないと、こんなチャンス今度いつ巡ってくるのかわからない。だって、僕の映画の番宣は今日で終わってしまうのだ。
「あの!ぼ、僕!その、・・なまえちゃんの、ことが、」
(コンコン)
「は、はーい」
ノックをしたのはスタッフさん。もうすぐ番宣をさせて頂ける番組の収録だということを伝えに来てくれた。それを聞いたなまえちゃんのは気を使って、『また、話そうね。』と出ていこうとする。だめだ、いま言わなきゃ、頑張れ佐藤大樹。
「なまえちゃん待って、」
『えっ?』
「そ、その!僕!ずっと、なまえちゃんのことが、好き!、です・・」
僕の精一杯の告白。告白ってこんな、緊張するんだ・・。顔なんか、見れない。絶対僕いま顔赤いし。
顔上げれないからなまえちゃんの表情も見れないし、少しの沈黙が怖い。
『たいきくん、』
『私も、すき』
俯いたままなまえちゃんの言葉を一つ一つ噛み締めていたら何を言われたかなんて僕のちっぽけな頭の中ではすぐに変換できなかった。なんて言ったのか理解出来たのはなまえちゃんが心配して『たいきくん?』と話しかけてくれたとき。
びっくりして、バッと顔を上げると僕と同じく顔を赤らめたなまえちゃんがいた。
「え、うそ、」
『うそじゃない。私たいきくんのこと、ずっと好き、でした、』
「え!僕も、ずっと好きだった」
『それじゃ、ずーっとお互いに好き同士だったってこと?』
なんだそれ。と多分僕らは同じくそう思って、顔を見合わせて吹き出した。なまえちゃんが僕をずっと好きだったなんて、信じられない。だけど、ほんとだったらすげー嬉しいこと。いま舞い上がってます。
でもなまえちゃんに『収録大丈夫?』と言われて現実に戻る。そうだったじゃん、全然なまえちゃんのことしか考えてなかった。
「あー、行かなきゃねー」
『たいきくん頑張って、』
「なまえちゃん。僕、頑張ったら、今日の夜ご飯行ってくれる?」
『もちろん!私も頑張るね!』
「じゃ、終わったら連絡する、」
『わかった。待ってるね、』
なまえちゃんのことを楽屋の外まで見送って、バイバイする。なまえちゃんもチラチラ後ろを振り返りながら手を振り返してくれる。
ああ、幸せです。僕、今日の収録舞い上がりすぎて空回りしそうですが、なまえちゃんとのディナーのため、頑張ろう。そんな意気込みをしながらなまえちゃんが見えなくなるまでなまえちゃんに手を振り続けた。
※見事番宣を噛まないで頑張ったたいきくんと
なまえちゃんのディナーでの小話
『実はね、昨日たいきくんに会ってから岩田さんに、たいきくんのこと好きでしょ。って見抜かれて、たいきくんのことたくさん教えてくれて、』
「え、まじ?」
『岩田さん、たいきのこといじってやろーって意地悪な顔してた、』
うわー、ガンさんには全部お見通しだったって訳か。僕がなまえちゃんの事を好きなことも、なまえちゃんが僕のことを好きだったことも。
昨日、わざわざ僕に見せつけるようになまえちゃんとわちゃわちゃしてたのも僕にヤキモチ焼かせて、やばいって焦らせるためだったならば腑に落ちる。ガンさんは僕なんかより何枚も上手だった。先輩、手強いっす。
リクエストありがとうございました!大樹くんのファンタでの頑張りを最近見ているのでスラスラと書けました。ご希望に沿えられたらうれしいです。