ぼくの彼女

僕には最近付き合いたての彼女がいます。ほやほやなのでメンバーにはまだ報告出来てませんし、ほやほやなのに僕はライブのリハーサルで彼女との時間が取れないことが多く、全くなまえには会えてません。

それが今日、少しだけ時間取れることになり、ご飯屋さんで待ち合わせた。なまえは、もうそれはたいそう寂しがっていると思いきや、わくわくしてんですよ。なんでか聞いてみますね



「なあ、なんでそんなわくわくなん?」

『え?なにが?』

「もうずっと、にっこにこやん」

『裕太くんいまライブのリハーサルなんやろ?』

「おお、そうやけど?」

『そのライブ行けんねん!お友達がチケット取ってくれた!』



そうや。今度ライブあるって伝えたらまだ人生でライブというものに参加したことないらしいなまえはものすんごいウキウキしてたのを思い出した。『行ってみたいな〜』って言ってたからこっちでチケット用意する予定やったのに。



「俺、用意できたのに」

『だめだめ、コネは使わんとく』

「律儀やな〜。」

『席まだわからんけど、裕太くん見えるところだったらええな〜』

「神さま仏さまに祈っとけ」

『神さま仏さまお願いしますから神席と言うところの神々しいところに座らせていただきたいでごわすぞ』



ほんとに天に向かって手を合わせ始めたなまえ。言葉は意味わからんし、素直すぎひん?









時が経つのは早いもので、もうなまえが来るというライブの日になった。まだ外が暗いときに起きたので、とてつもなく早起きだった。そして昨日、泊まりに来てくれていたなまえも一緒に起きてくれて、寝ぼけながらも朝ごはんを作ってくれて、荷物の準備も一緒にしてくれて、玄関まで送ってくれた。見送ってくれたなまえの笑顔だけで今日は頑張れそう。

そういえばなまえは俺が席を聞いても教えてくれなかった。もう席は分かるはずやんな?そんな当日しか席わからんシステムだったら喜怒哀楽すごそうやし。(あ、やっぱそういうシステム聞いたことある気がしてきた。ディスるのやめとこ。)

そんなことを考えて楽屋に入ると、すでに何人か来ていて、緊張を紛らわせるためなのか朝からテンション高くて、ふざけあっていた。僕も挨拶をして荷物を下ろしてからそれに混ざった。

みんなそれぞれ自主練やアップをしたりして本番に備える。緊張感が張り詰め、さすがにふざけあうことはなくなった。僕も廊下で振りの確認をしながら集中力を高める。

そんなとき僕の携帯が震え、確認するとなまえからの応援メッセージ。緊張してたはずやのに、自然と口元が緩む。不思議やなあ。











円陣を組んでみんなで最後の気合を入れ合う。うっしゃ!みんなを楽しませるためにがんばるで!

ステージに出てから一通り辺りを見渡すとなまえの場所はすぐにわかった。僕の目の前、という出来すぎた話ではないけど、センターステージから近いし花道沿いだから僕が歩いていくと絶対目が合っているのを確認出来るし声もかろうじて届く位置にはいる。

そしてなまえのお友達というのは、龍友くんの妹ちゃんだった。はー、そっかそっか。納得。どうりでライブ前、龍友くんやたらこっち見てニヤニヤしていたり「今日僕の妹が”ともだち”と来んねんて」とやたら”ともだち”を強調していたわけだ。てかどこで知り合ってん?

まあそれは頭の片隅に置いといて、ライブに集中する。普段なら照れることも、アドレナリンが上がりっぱなしのいまの俺はなんだってアピール出来ちゃう。そんななまえばっかり見ることは出来んけど、目は何度かばっちし合ったし、なまえのいる方向に少し多めにファンサービスしていたのは内緒。

ライブは僕もメンバーも会場のみんなの盛り上がりもピークのまま僕達はステージから捌ける。するとみんなのアンコールを求める声が聞こえてくる。裏では大急ぎで着替え始めたあと、次出る位置にみんなそれぞれ走って待機する。


そしてふと、先程の龍友くんの言葉が頭をよぎった。「今日僕の妹がともだちと来んねんて」の後なんて言ってた?
確か「妹、バックステージ当てたらしい。すごない?コネかと思うやん?僕は一切関わってないからな」と聞き間違えでなければそう言っていた。

・・・2人まで入れるわけやから、もちろんなまえも一緒に来るんよな?やば、緊張する。


















「お疲れさまでしたー!」


と出迎えてくれる大勢のスタッフさんの声でやっと終わったんだと実感出来た。最高に楽しかった、なまえもすごい楽しんでたな〜、振りもなかなか覚えてくれとったし。って結構なまえのこと無意識に見てたんやな僕。



「そろそろバックステージが当たったお客様がいらっしゃいまーす!!お迎えお願いします!」



そうやった。バックステージになまえが来るという関門が待ち構えていた。いつ来るのか次か次かといちいちドキッとするのに疲れるしそれ見て龍友くん楽しんでるみたいやし、なんなん。



「次で最後で〜す!」



ついに最後の方たちがくるらしい。多分来るのは、



メンディー「ん、見たことあるな」

隼「あれ?龍友くんの妹ですよね」

龍友「そや!コネやと思うやろ!こいつの実力やねん!」

玲於「へえ、すごいね」

涼太「来てくれてありがとう」

亜嵐「ふはっ、裕太くんどうした」

裕太「ほえ?あ、いや」

メンディー「なんかおかしいよ?」


『裕太くん』

裕太「お、おう」

隼「裕太くん知り合い?」

裕太「知り合い、かな」

龍友「知り合いっちゅーか、そんなん通り越して彼女やろ!」

「「「「「・・・えー!!!???」」」」」

裕太「ちょ、龍友くん!」

玲於「は、まじ?」

涼太「はじめましてこんにちは〜」

『あ、こんにちは、』

隼「関西の方なんですか?」

『あ、はい、』

亜嵐「裕太くん照れ屋さんなもので、こんなかわいい彼女がいるって僕ら知らなかったんです〜」

メンディー「いつ頃から付き合ってたんですか?」

玲於「裕太くんのどこがいいの?」

隼「裕太くん彼女さんの前ではどんな感じなんですか?」

龍友「デッレデレに決まっとるやろ!」

裕太「ちょ、みんな!なまえが困っとる」

涼太「お、なまえちゃんって言うんですね」

亜嵐「なまえちゃんは裕太くんのことなんて呼んでますか?まさか、たあくん?」

メンディー「裕太くんはなまえちゃんのことなんて呼んでるんですか?まさか、あだな?」

裕太「ちょおおおおい!あかん、なまえおいで」

『え、裕太くん?』

龍友「キャッ!駆け落ちチック」



みんなの質問攻めに困っているなまえを見ると、いても立ってもいられなくてなまえの手を引いて少し離れたところに移動してきた。それに、少しふたりきりになりたかったし。



「ごめんな、困ったやろ」

『ちょっとだけ。でもみなさん賑やかな方達で良かった。裕太くんもあの中で楽しくやってるんやろなーって想像出来た』

「そっか。あ、来てくれてありがとうな。結構近かったな?」

『うん。裕太くんばっちり見えたで』

「僕からもばっちりやった」

『んふふ、裕太くんかっこよかったよ』



見つめ合って笑い合うと、そういう雰囲気になったのでお互い少しずつ顔を近付ける。すると、ドタドタとすごい足音が何重にも重なって聞こえてくる。



「やばっ、絶対あの人たち来る。逃げよ」

『え、どこに、』



またなまえの手を引いて誰もこなそうな階段を登り、階段の踊り場の端にふたりで息を潜めてしゃがみこむ。

通り過ぎていく足音を聞きながら、今度こそなまえにキスをした。満足して離れようとするとなまえの両手が僕の頬を包み、またチュッと軽くキスをしてきた。かわええやつや。

あ〜、これからのライブなまえ呼ぶか、どうしよ。あんなに楽しそうに参加するなまえがまた見たいし僕の頑張りも見に来て欲しいけど、なまえに楽屋挨拶に来てもらえば結局今日みたいにメンバーに延々といじられる運命が待っているのだ。

いや、それは別にええけど、メンバーに囲まれてるなまえを見るとなんというか・・・。僕、ヤキモチ、焼くんよね。こう見えて、いっちょ前にヤキモチ焼くねん。まあ〜、うじうじ考えとっても仕方ないか!いまは目の前のかわいいなまえといわゆるイチャイチャタイムを設けよう。














リクエストありがとうございました!お互い関西弁を話す設定するにしましたが、よく考えると私は関西弁を話せないのでエセ関西弁のところがあるかも知れませんがすみません・・・。裕太くん、絶対好きな人に対してずっとにっこにっこで顔緩みっぱなしで、きっとすごく優しいんだろうなーという妄想を繰り広げていました(笑)ご希望に沿えられたら嬉しいです。