ご時世ネタ【向日】


【岳人】

「……平熱何度?」
「ぜってー言うと思った」
げっそり吐き出す向日に、なるほど皆に言われてるんだな、と納得して席に着く。ジローが朝勝手に付けたんだよ、としっかり言い訳というか説明というかしてくれる所が可愛いと言われる理由だと気付いていない彼が可愛いと思っている。思ってるだけ。
「で、ほんとに何度?」
「36.9℃」
「あ、こど結構高いんだね」
「子供体温って言おうとしただろお前」
眉間に皺を寄せる彼に、口元に手を当てしまったと大袈裟に無言のジェスチャーをすれば盛大な溜息を返されてしまった。
「そういうお前はどんくらいなんだよ、平熱」
「え、私?今朝は35.2℃とかだよ」
「は?低くね?」
そう言うと同時に手が伸びてきて私のおでこに向日の手が触れる。ホントだ冷てー、と呟く彼から目が離せない。
「夏とかお前に触れたら涼しそうだな」
おでこから手の平が離れると同時に、何気無しに発された彼の言葉にまるで向日の体温が移ったみたいに顔が熱くてたまらなくなった。