いびつな愛の行方
「漣音、紫呉のところでの生活はどう?」
「はとりからも聞いてると思ったけど」
「ぼくは漣音の口から聞きたいんだけど」
僅かに不貞腐れたように言う慊人に、漣音は小さく笑って話し出した。
「どちらかと言えば、こちらの生活の方が性に合ってるわね」
「ふうん。……戻ってくればいいのに」
「もうしばらくしたらね。慊人が来て欲しい時は必ず来るから」
「紫呉は?」
慊人と紫呉の関係を知っている漣音は、小さな子供を安心させるような微笑みを浮かべて慊人の頭を撫でる。
「大丈夫よ、慊人が心配するようなことはないわ。同居してる本田透も、眼中に無いから」
「女と見れば誰とだって寝るのに」
「こーら」
「漣音……漣音はどこにも行かないよね。ぼくを置いていかないよね?」
「当たり前でしょ」
「それはどうして……?」
縋るような声。
「貴女が"神様"で、私が"瑞兆"である限り私は"神様"(あなた)のそばを離れないわ」
「漣音……」
お腹辺りに顔を埋めて抱きつく慊人。
その柔らかい髪を撫でながら漣音はそっと慊人を見下ろす。
哀れな子。
歪で、矮小で、卑屈なまでに"神様"であることに執着する可哀想な私の"神様"。
「慊人……」
「漣音、そばにいて……置いていかないで……」
「そばにいるわ。ずっと、あなたが望む限り……」
貴女が私だけの"神様"である限り。
瑞兆は神様を愛でている。
神様が"神様"である限り。